大雨時期を前に…“自分は大丈夫だろう”なぜ思い込む?避難ためらう「正常性バイアス」【#みんなのギモン】
まもなく本格的に迎える梅雨シーズン。日本気象協会によると、ことしは平年に比べて梅雨入りが全国的に遅く、梅雨入り早々にまとまった雨が降る可能性がある。 ▼「避難めんどくさい」にならないため 災害は突然に…“心の隙”を知るゲーム 震災経験した大学生が制作 私たちは、2018年の西日本豪雨で、避難をためらう父親を説得した男性を取材。災害時、「自分は大丈夫だろう」と思い込んでしまう正常性バイアス。どんな備えが必要なのか。 (日本テレビ調査報道班 前田怜佳)
■避難を拒否する父「死ぬわけないから」
「はよ逃げよう 死んだら終わるで」 2018年7月、甚大な被害をもたらした「西日本豪雨」。50人以上が命を落とした岡山県倉敷市真備町に住んでいた丸畑裕介さんは、家にいた父親を避難所に連れて行こうとしていた。 近くの川が決壊し、玄関まで迫りくる濁った水。しかし、父親からの返事は─ 父親 「死ぬわけないから」 なかなか動こうとしない父親。 丸畑さん 「そうやって言って何人死んでんの今日!」 声を荒らげて説得するが… 父親 「死ぬわけない崩れるわけない」 丸畑さん 「水まだくるんやで」 父親 「水くるゆうても土手こえるわけなかろう」 丸畑さん 「全員逃げてる。みんなと違う行動するのが一番危ないんやで。基本は逃げることやで」 父親 「家が燃え出したりしたらすぐ対処できるようにおらなあかん」 丸畑さんが撮影した映像には、かたくなに避難しようとしない父親とのやりとりが残されていた。
■「正常性バイアス」誰もが持つ当たり前の感覚
災害が起きた時、避難情報が出ていても“自分は大丈夫だろう”と思い込んでしまう「正常性バイアス」。避難が遅れる原因のひとつとされている。 一見すると、なぜ逃げない?と思ってしまうが、災害時の避難に詳しい日本大学危機管理学部・秦康範教授は、正常性バイアスについて「誰もが持っている当たり前の感覚」と話す。 日本大学危機管理学部 秦康範教授 「何かが起きて危険になるかもしれないと普段から考えていると、人はいろんなことが心配で生活できなくなってしまいます。ストレスから自分を守るため、ある程度『自分は大丈夫だ』と思うのは正常なこと」 「人は日常生活で危険な状態になることがほとんどないため、“今がその時だ”という認識を持ちにくい」