大雨時期を前に…“自分は大丈夫だろう”なぜ思い込む?避難ためらう「正常性バイアス」【#みんなのギモン】
■4人に1人「自分は被害にあわないと思った」
実際に、水害や地震などの自然災害で、自治体からレベル4の避難情報(当時の避難勧告・避難指示)が発令された地域住民の避難行動について調べたアンケート結果によると、災害が起きた時に「自宅以外の場所に避難をした」と答えた人は16.9%。 避難せずにそのまま自宅にいた人が8割を超えた。 さらに、「なぜ自宅以外の場所に避難しなかったか」という質問に、およそ4人に1人が「自分は被害にあわないと思った」と回答していた。
■すぐそこまで迫る水…それでも「いつも通りの朝」
避難しながら被害を映像におさめていた丸畑さん。当時、見たことがない川の水の増え方を目の当たりにして、「ただ事じゃない」と危機感を抱いたという。 丸畑裕介さん 「子どもの頃から毎日釣りをしていた川が予測できないくらいに水が増えていきました。見たことないこと起きるぞ、早く逃げないといけないぞと思いました」 急いで家族に避難するよう呼びかけたが… 丸畑裕介さん 「家族は全然現実味がなくて、ふつうの日常の朝という感じでした。母もテレビを見ながら化粧しているような。いつも通りの生活をしていましたね」 このとき、すでに真備町の中心部は冠水していたという。丸畑さんは小さいカメラで撮影した被害の映像を見せたが、家族の反応は薄かった。 丸畑裕介さん 「動画を見せても『わーっ』とびっくりはするんですけど、『ここまでは水はこないだろう』と言っていて。父親は『水は絶対こない』って言い張っていましたね」 家族が危険を認識し始めたのは、近くの土手から家の方に水が流れてきてからだった。 丸畑裕介さん 「自分の目で見ないと現実味を感じないんだなと思いました。ここまで水がきたんだなって近くで見て、初めて動き出しましたから」 秦教授も、危機が目の前に迫っているかどうかが人の行動に大きく影響すると指摘する。 日本大学危機管理学部 秦康範教授 「過去の災害の調査で、なぜ避難したのか聞いてみると、『目の前に差し迫った危機を感じたから』という回答が多い。客観的に『危険だ』という情報が入っても、危機が具体的に見えていないと人は反応しづらいんです」