「フレーミング技術」の概要と意図をNPB審判員へ直訴…アマチュアコーチのプロ春季キャンプ奮闘記
秋に続いて春季キャンプへ参加するも思いもよらぬ事態に…!?
ソフトバンクホークスの’23年秋季キャンプにキャッチングコーディネーターとして招集された緑川大陸さん。選手、コーチ陣からの信頼を得ることができ、引き続き’24年の春季キャンプにも招聘されることになった。 【大胆予想】最新統計データが導き出した驚きの結果…今年の「セ・パ優勝球団」はズバリここ!! 秋季キャンプでは初対面のバッテリーコーチ陣へ、フレーミングの概要や意義、練習方法などを講義するという体験をし、それを乗り越えての春季キャンプは、秋ほどプレッシャーは感じないはずだった。ところが、緑川さんを招聘したホークスのスタッフからは、さらに想定外のリクエストがあったという。 ■前編では秋季キャンプでプロのコーチ陣を相手に決死のプレゼンをした緑川さんの奮闘を紹介した。後編では春季キャンプ中に、フレーミング技術の概要と意図をNPB審判団へ説明するという、壮絶なミッションを課せられたアマチュアコーチの顛末をお届けする。 「僕が甲斐選手の自主トレでフレーミング指導していることがメディアに取り上げられて、ちょっと変な雰囲気というか、フレーミング=審判対キャッチャーのような構図になっている感じがして。審判の方にもあまり良い印象ではなかったようです。 そのためホークスとしては審判団に対して『フレーミング習得は、一般的にストライクとされる低めへの投球が、ボールとコールされる数を減らすための取り組み』であることを説明したいと」 そもそも、フレーミングに関しては賛否両論の声が多いのが実情だ。特に低めの投球に対するアプローチが、大きくミットを動かしているようにも見え、いわゆる「ミットずらし」や「審判を欺く行為」として批判されることも多い。 一方でMLBのキャッチャーがこぞってこの技術を取り入れていて、さらにデータでもフレーミングによってストライクが増えたという数字が出ていることもあり、日本でも取り入れる選手が増え、ファンの間でも肯定的に見られているという面もある。 こうして対立する構造となっているフレーミングと審判の間に入り、意見交換をするという大役を任された緑川さん。野球ファンから見れば“窮地”にも見えるこの状況をどう乗り切ったのだろうか。 「当初は審判の方と日程がなかなか合わず、ブルペンで軽く立ち話程度にしようということでした。ところが、いざキャンプに行ってみると、がっちり日程が決まっていて、会議室でモニターを使ってプレゼンすることになっていたんです。 結構な大ごとになったので、さすがに球団の方も気を遣ってくれて『緑川さんはどうしますか? 我々だけで説明してもいいですよ』と言ってくれたのですが、せっかくここまで来たし、NPBの審判の方へ向けて話ができるなんて経験はないから、やらせてください! と(笑)」