「フレーミング技術」の概要と意図をNPB審判員へ直訴…アマチュアコーチのプロ春季キャンプ奮闘記
ここでいう予備動作とは、近年のキャッチャーに見られるようになった、捕球時にミットを大きく下げる動作のことだ。ミットを下から上(中心)に向かわせることによって、特に低めのボールに対してアプローチがしやすくなる。 野球中継でのセンターカメラからの映像を見ると分かりやすいが、一旦ミットを下げることによって、捕球までの動きが大きくなり、それによって“捕球後にミットを動かしている”ように見える場合や、実際に明らかに捕球後に動いている場面も見られる。 「捕球後にミットが動いてしまうのは“キャッチャーのエラー”だと選手には伝えています。ただ、動いてしまうのは投球に対して最善のアプローチをしようとしている結果なんです。決して審判を騙すつもりでやっているのではないことも審判団には伝えました。 僕が指導するときに選手に伝えるのが『セルフジャッジはしないこと』です。『勝負所』『際どい球だけ』『ここぞという場面』だけでフレーミングをするのは、かえって審判を欺こうとしていると取られても仕方ありません。 キャッチャーとして大事なのは、ピッチャーが一生懸命投げた球を一球でも多くストライクとコールしてもらうこと。そのために全球に対して最善のアプローチをして、その結果、審判がするストライク、ボールのジャッジに従えばいいのです」 ◆捕球時のミットの位置はジャッジに影響を及ぼす こうして審判団とさまざまな話や意見交換をしているうちに、本来の説明会の時間になり、緑川さんは開催場所の会議室へ向かうことになった。 「アナリストや球団スタッフが待っている会議室に、僕が和やかな雰囲気で審判の皆さんをお連れして『え! なにしてたの!?』って。僕は『もう、話しちゃいました(笑)』と言い、森さんにも『すごく有意義な話をしていただいて、勉強になりました』と言っていただいて。 後はアナリストからのデータとして、ストライクとされているゾーンがボールとコールされている数値を見てもらい、それが昨シーズンのホークスは少なかったし、それを減らすのがチームの目的であり、僕はそのために呼ばれたのだということを説明しました。またブルペンにいなかった眞鍋(勝已)さんにも説明して、質問にも受け答えさせていただいて。最後は眞鍋さんに『緑川君は(関西高校の)後輩なんですよ』って皆さんに紹介してもらいました(笑)」