【除夜の鐘】なぜ108回鳴らす? 思っていた以上に古い歴史と風習に込められた意味とは?
1000年以上続く「除夜の鐘の歴史」
今では大晦日といえば「除夜の鐘(じょやのかね)」が連想されるほど当たり前の存在になっていますが、そもそも大晦日の日に寺院の鐘を108回つくという習慣はいつから始まったのでしょうか。その歴史は意外と古く、1000年以上も前に中国に存在した宋王朝に行われていた鬼払いに由来します。 【関東】「靖国神社」「神田明神」は…? 2025年におすすめ《初詣スポット》ランキングTOP20をチェック! 陰陽道では時間や空間の境目からは鬼など邪のものが入り込むと考えていました。寺院にある鐘を正式には「梵鐘(ぼんしょう)」といい、サンスクリット語で「神聖」や「清浄」を意味します。浄化効果のある梵鐘を鳴らすことで、月が変わる月末に現れる鬼を追い払おうとしたようです。それが、時代を経て年が変わる大晦日の日だけに着くように変わっていきました。実際に鬼を払う効果があるかは分かりませんが、梵鐘の余韻には1/fのゆらぎ(えふぶんのいちのゆらぎ)が含まれ、心を穏やかにさせるリラックス効果があると言われています。 鎌倉時代になると梵鐘の伝来とともに除夜の鐘の風習も禅寺に伝わり、江戸時代になると現在と同じような形で全国の寺院で取り入られるようになったようです。
「除夜の鐘」の「除夜」ってどんな意味?
年末にうたれる鐘のことを当たり前のように「除夜の鐘」と呼んでいますが、この「除夜」とはどんな意味があるか疑問に思いませんか? 「除夜」の「除」には、「古いものを取り去って新しいものにつく」という意味があります。つまり、旧年を取り除いて新しい年を迎える日である大晦日の日を「除日(じょじつ)」ともいい、その夜だから「除夜」なのです。 ちなみに「晦日」とは月の最後の日のことをいい、その年の月の最後の日になるので「大晦日」と呼びます。「晦」という字には“月が出ないこと”“月が暗いこと”という意味があります。太陽暦が採用された明治6年以前は新月から始まる月の満ち欠けを基準に1カ月を決める太陰太陽暦が使われていたため、月の最終日は新月の前になるため月が出ない状態とし、その日を「晦日(つごもり)」と呼んだそうです。それが新暦になっても受け継がれ、大晦日へとつながっていくのです。