残り2周でまさか……エンゲルがドラマチックなウエットレースで逆転勝利/マカオGTワールドカップ
11月17日(日)、マカオ市街地のギア・サーキットで2024年FIA GTワールドカップのメインレースが行われ、メルセデスAMG・チームGMRのマーロ・エンゲルが(130号車メルセデスAMG GT3エボ)が優勝を飾った。 【動画】メルセデスAMG GT3エボとフェラーリ296 GT3の首位争いとその後 4番グリッドからスタートしたエンゲルは3番手に順位を上げたあと、首位争いを繰り広げていたアントニオ・フォコ(AFコルセSRL/83号車フェラーリ296 GT3)とラファエレ・マルチェッロ(TOROレーシング・パワード・バイ・MCG/1号車BMW M4 GT3)が絡むアクシデントで、両名が彼の目の前から消えたあとの終盤2周をリード。6.641秒差で2位となったアウグスト・ファーフス(チームKRC/89号車BMW M4 GT3)に先んじてトップチェッカーを受け、FIA GTワールドカップのタイトルを奪い取った。 土曜日の予選レースでポール・トゥ・ウインを達成したためポールポジションからスタートすることとなったマルチェッロは、日曜日の午前中に降った雨の影響で5周にわたってセーフティカーの後ろを走った後、残り11周のタイミングで訪れた実質的なスタートから終盤までレースをリードしていく。 スイス籍のドライバーは、同じくM4 GT3をドライブするBMWファクトリードライバーのドリス・ファントール(チームWRT/32号車BMW)が8周目にフォコに抜かれるまでドイツメーカーのワン・ツーを牽引。一方のファントールは3番手にポジションを落とした直後、マシンをウォールにヒットさせ足回りにダメージを負ってしまう。これでエンゲルが3番手に浮上した。 残り3周、首位マルチェッロの背後につけていたフォコが、最終コーナーでレースリーダーのインに飛び込みトップに躍り出る。しかし、テール・トゥ・ノーズ状態の2台は3コーナー“リスボア”への進入での攻防でわずかに接触。1号車BMWと83号車フェラーリはともにランオフエリアに飛び出してしまい、揃って勝負権を失うことに。 漁夫の利を得るかたちで3番手からトップ立ったエンゲルだったが、彼にはファントールのBMWに追突したことに対し非があるとして、5秒のタイムペナルティが課せられることがファイナルラップで伝えられた。これにより2番手を走るファーフスにタイトルの権利が譲られることになるかと思われたが、フィニッシュ時の両者のタイム差はエンゲルのラストスパートにより11秒あまりに開いていたため、順位は変わらず。 結果、39歳のドイツ人ドライバーは2015年以来の2勝目を挙げ、マルチェッロに続くふたりめのFIA GTワールドカップ・マルチタイムス・ウイナーとなった。なお、FIAワールドカップのタイトルが掛けられる以前のマカオGTカップを含めると同地では4勝目となる。 またコロナ禍の時期に行われたGTカップイベントを含めると、今回の勝利はメルセデスAMGのギア・サーキットでの連勝記録を『6』に伸ばすものとなっている。 エンゲルとファーフスに続き3位表彰台を得たのは、チームWRTのシェルドン・ファン・デル・リンデ(31号車BMW M4 GT3)だ。4位はアブソリュート・レーシングのアレッシオ・ピカリエッロ(911号車ポルシェ911 GT3 R)で、チームメイトのローレンス・ファントール(25号車ポルシェ911 GT3 R)が5位。33号車アウディR8 LMS GT3エボIIをドライブするクリストファー・ハーゼ(ファントム・グローバル・レーシング)が6位となった。 “ミスター・マカオ”の異名を持つエドアルド・モルタラ(SJM VSR・セオドール・レーシング/63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2)は7位で、8位にリカルド・フェラー(FAWアウディスポーツ・アジア・レーシング・チーム/36号車アウディR8 LMS GT3エボII)、9位には残り2周時点の時点でトップに立っていたフォコが入った。 FIA GTワールドカップで前人未到3度目の優勝と、今週末いずれも最速となった予選と予選レースに続き、メインレースの制覇を目指していたマルチェッロは終盤のアクシデントの後、ピットレーンでレースを終えている。 ■2024年FIA GTワールドカップ メインレース正式結果 Pos./No./Driver/Team/Car/Gap 1/130/マーロ・エンゲル/メルセデスAMG・チームGMR/メルセデスAMG GT3エボ/45'44.519 2/89/アウグスト・ファーフス/チームKRC/BMW M4 GT3/6.641 3/31/シェルドン・ファン・デル・リンデ/チームWRT/BMW M4 GT3/10.299 4/911/アレッシオ・ピカリエッロ/アブソリュート・レーシング/ポルシェ911 GT3 R/10.881 5/25/ローレンス・ファントール/アブソリュート・レーシング/ポルシェ911 GT3 R/11.205 6/33/クリストファー・ハーゼ/ファントム・グローバル・レーシング/アウディR8 LMS GT3エボII/12.469 7/63/エドアルド・モルタラ/SJM VSR・セオドール・レーシング/ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2/13.025 8/36/リカルド・フェラー/FAWアウディスポーツ・アジア・レーシング・チーム/アウディR8 LMS GT3エボII/13.821 9/83/アントニオ・フォコ/AFコルセSRL/フェラーリ296 GT3/14.853 10/77/ダニエル・ジュンカデラ/メルセデスAMG・チーム・クラフトバンブー・レーシング/メルセデスAMG GT3エボ/15.937 11/50/イーフェイ・イェ/ハーモニー・レーシング/フェラーリ296 GT3/19.075 12/7/ラルフ・アロン/TOROレーシング/メルセデスAMG GT3エボ/19.739 13/88/ラウリン・ハインリッヒ/シューマッハーCLRT/ポルシェ911 GT3 R/19.938 14/51/ダニエル・セラ/ハーモニー・レーシング/フェラーリ296 GT3/21.198 15/4/トーマス・プライニング/オリジン・モータースポーツ/ポルシェ911 GT3 R/22.169 16/566/レオ・ホングリ・イェ/オリジン・モータースポーツ/ポルシェ911 GT3 R/32.839 17/10/アデリー・フォン/ウノ・レーシング・チーム/アウディR8 LMS GT3エボII/47.050 18/1/ラファエル・マルチェッロ/TOROレーシング・パワード・バイ・MCG/BMW M4 GT3/1Lap 19/99/ジュール・グーノン/メルセデスAMG・チーム・クラフトバンブー・レーシング/メルセデスAMG GT3エボ/1Lap 20/30/ジェームス・クワイ・ユー/ウノ・レーシング・チーム/アウディR8 LMS GT3エボII/1Lap NC/32/ドリス・ファントール/チームWRT/BMW M4 GT3/7Laps NC/19/マッテオ・カイローリ/SJM VSR・セオドール・レーシング/ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2/10Laps [オートスポーツweb 2024年11月17日]