高校生がロボ研究 農作業の一助に 愛知県立刈谷工科高校
愛知県立刈谷工科高校IT工学科は、スマート農業ロボットを研究し、持続可能な農業の実現を目指している。同校が管内にあるJAあいち中央は主催するイベントで展示コーナーを設け、活動の紹介に協力した。 同校は、持続可能な社会を実現するために社会貢献できる人材の育成に力を入れている。IT工学科の授業では、2年生と3年生が、現代社会のさまざまな課題を見いだし、それらを解決できる工学技術を実践的に学習している。 同科が取り組むプロジェクトの一つに「農業における人材不足が現代社会の大きな課題である」がある。スマート農業ロボット研究は、この課題の解決に向けたものだ。 生徒たちは11月に、刈谷市のJAあいち中央刈谷営農センターで開いたJA刈谷地区農業まつりに参加自動運転ロボットの展示ブースを出展した。ステージで活動を発表し、農業の課題をクイズ形式で来場者に問いかけ、その課題を解決する先端技術を紹介した。 展示した自動運転ロボットは、車の自動運転技術と同様の技術を搭載し、レーザーを用いて障害物にぶつかることなく走行する仕組みだ。全地球衛星測位システム(GNSS)と相対測位(RTK)技術を使い、位置情報の誤差をセンチ単位まで小さくした。農地でも正確に走行できるため、肥料や農薬の自動散布への活用を想定する。 また、画像から作物の生育状況を可視化し、必要な肥料や農薬を算出するために、画像解析人工知能(AI)技術も研究していることを発表した。 スマート農業ロボットについて研究する生徒は「自動運転技術を農業に取り入れることができれば、人材不足を解消できると思ったのが開発のきっかけだ」と説明。「気象データを予測する技術など、さまざまな工学技術を組み合わせて、課題の解決策を提案していきたい」と今後に向けた意欲を示した。 同科の加藤寛康教諭は「農業に工学技術が加わることで、人の手にしかできないことが新たに見えてくる。おいしさなど農産物本来の価値だけではなく、自動運転ロボットなどの工学技術を使った栽培方法や、それに伴う人の手の加わり方に対する付加価値を生み出し、持続可能な農業を実現できる人材を育成できるよう、引き続き取り組んでいく」と話した。
日本農業新聞