フォード最強スポーツカーが「ニュル最速アメ車」に 815馬力のV8マスタング偉業達成
さらなるタイム短縮を宣言
フォード・マスタングGTD がニュルブルクリンク北コースを7分未満で周回し、同サーキットを走った米国製量産車としては史上最速となった。 【写真】まさに公道を走るレーシングカー【フォード・マスタングGTDを写真で見る】 (26枚) マスタングGTDは、伝統あるマッスルカー、マスタングのサーキット走行に特化したバージョンである。今回の記録挑戦走行では、全長約20.8kmの北コースを6分57秒685で走破した。 これは、2020年9月にポルシェが旧型911 GT3で記録した6分59.93秒を2.2秒以上も上回るタイムである。 しかし、マンタイ・レーシング・パフォーマンス・キットを装着した911 GT3(6分55秒737)、911 GT3 RS(6分49秒328)、メルセデスAMG GTブラックシリーズ(6分48秒047)、マンタイが改良した先代ポルシェ911 GT2 RS(6分43秒300)には及ばなかった。 また、現在の量産車の記録保持者であるメルセデスAMGワン(6分29秒090)にも大きく遅れをとっている。 フォードは、来年ニュルブルクリンクに再挑戦し、マスタングGTDの記録を更新すると発表した。これは、ポルシェが最近発表した911 GT3の改良型で反撃してくることを予期してのことだろう。
普通のマスタングとどう違う?
GTDは、歴代マスタングの中で最も過激なモデルである。マスタング・ダークホースに搭載されている5.0L V8エンジンをベースに、5.2Lへと拡大し、最高出力は500psから815psに引き上げられた。これにより、ル・マン24時間レースのホモロゲーションモデルであるフォードGTよりもパワフルとなった。 パワートレインには、ドライサンプ潤滑、アクティブバルブ式エグゾーストシステム、カーボンファイバー製ドライブシャフトなど、モータースポーツ由来の改良が数多く施されている。 シャシーも通常とは大きく異なる。フロントには不等長ダブルウィッシュボーン・サスペンションを採用し、マルチマティック社から供給されたアクティブ・ダンパーも搭載している。これにより、車高は公道走行時の設定でGTより40mm低く、トレッドも約100mm広くなっている。 サーキット走行で繰り返しかかる高負荷にも耐えられるよう設計されたブレンボ製カーボンセラミック・ディスクブレーキが、強力な制動力を発揮する。 締めくくりは、レーシングカーからインスピレーションを得た過激なボディキットだ。大きく張り出したオーバーフェンダー、エンジンとリアブレーキ用のエアダクト、そして巨大なリアスポイラーを備えている。 マスタングGTDの購入は申し込み制で、英国では7月19日のデビューから1週間後に受付が終了した。英国価格は31万5000ポンド(約6085万円)から。 フォードは、公道走行の認可を取得するかどうかに関わらず、GTDを世界中で販売するとしている。つまり、一部の市場ではサーキット専用となる可能性があるということだ。現時点では、どの地域が影響を受けるのかは定かではない。 欧州向けの生産は、2025年春に開始される予定である。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部