米共和党に「変節漢」続々、予備選圧勝のトランプ氏に露骨な接近 義理人情外れた振る舞いに冷ややかな視線【ワシントン報告⑮米大統領選】
バイデン米大統領とトランプ前大統領の再対決が確定した11月の大統領選は、共和党側でトランプ氏にすり寄る動きが露骨だ。トランプ氏の強さが昨年以降、世論調査で示され、それが予備選の圧勝で証明されたことで、求心力は加速した。権力に近づこうとするのは政治家の常だが、その「変節漢」ぶりは日本以上にあっけらかんとしているように見える。ドライな米国とはいえ、主義主張の一貫性や義理人情を外れた振る舞いには冷ややかな視線が伴う。(共同通信ワシントン支局長 堀越豊裕) トランプ氏「日本よ。おめでとう」と皮肉 バイデン政権に
▽「裏切り」の議員 「米国は南部の国境を閉じてくれる大統領を必要としている。国をまとめてくれる大統領を求めており、だからトランプが必要なのだ」 南部サウスカロライナ州選出のスコット上院議員は1月、トランプ氏の支持者集会に参加し、支持を表明した。自らも共和党の指名候補争いに出馬し、ライバル同士の関係だったが、討論会などではトランプ氏への批判を慎重に避け、昨年撤退を決めた。今ではトランプ氏の側近のように振る舞い「最大の代弁者」(ウォールストリート・ジャーナル紙)と呼ばれる。副大統領候補の一人とされる。 もともと下院議員だったが、トランプ氏と党指名を最後まで争ったヘイリー元国連大使がサウスカロライナ州知事だった2012年、欠員となっていた州選出上院議員にスコット氏を任命した。恩をあだで返された形のヘイリー氏陣営は「(裏切りの)ユダ上院議員」とこき下ろした。 任命された当時、スコット氏は南北戦争後に南部から選出された初めての黒人上院議員だった。サウスカロライナは人種が大きな意味を持つ。バイデン氏が2020年選挙の民主党予備選を制したのは、序盤のサウスカロライナ州予備選で勝って勢いを付けたためで、背後には黒人の有力下院議員クライバーン氏の力が大きかった。トランプ氏も本選での黒人票を見込み、スコット氏を副大統領候補に置く可能性はある。