TKOでV9に成功した内山を支えるプライド
さて次なる盛り上がりは、WBC世界スーパーフェザー級王者、三浦隆司(帝拳)との統一戦である。2011年に、一度拳を交え、途中ダウンを奪われたが逆転KOで下した男は、その後、他団体のチャンピオンになって、海外防衛もクリア、一発狙いの単調なボクシングから脱皮してテクニックも身につけている。 「前よりも強くなっている。どっちが勝つかわからないが、楽しみな試合」と、内山も日本人同士の統一戦というビッグマッチを楽しみにしている。渡辺会長も、「統一戦も海外の防衛戦も実現したい。三浦選手との試合は、条件次第だが、早ければ5月にも」と前向きに発言したが、一方の三浦側の本田会長は「わからない。三浦も内山も双方が次の試合の交渉を始めている。その試合を終えてからになるのか、すぐダイレクトになるのか、そこは見えない」と、珍しく言葉を濁した。5月という説は、どうも難しそうな気配である。 「もう、この先、10年ボクシングができるわけではない。コンスタントに試合をしていきたい」 35歳、内山のそれが本音だろう。 最後に。この試合、9ラウンドまでのジャッジ表を見て驚いた。プエルトリコ人のジャッジの人が、85-85のドローとしていたのである。控え室で、それを知らされた内山は「え?うそでしょう。まじで?」と驚愕の声をあげ、渡辺会長も「他の試合を見ていたのではないか」と不信感を隠さなかった。一人は、90-78とフルマークをつけていた試合のどこを見れば、そんなジャッジになるのか。2014年の年末に行われた8大世界戦のオオトリを務めるにふさわしい内山の好戦的ファイトを汚すような珍事があったことを最後につけくわえておきたい。4団体が乱立する今こそ、WBAが権威を維持するには、こんなジャッジをつけるオフィシャルを置いているようでは恥ずかしいだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)