香港で大成功 ある日「娘を預かった」 メイドさん14人、わけのわからない男性も 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<22>
《平成元(1989)年に中国・天津の貿易会社との取引で始めた輸入通販は、現地の発送作業が滞ったために契約を解消。拠点を香港に移した》 【写真】「僕はお肉が食べられないので」 22歳のころの石田重廣さん、フィリピンにて 香港にはそれまでに旅行で何度も訪れていたんです。育毛剤「101」や女性の胸に塗って大きくするクリーム「美乳霜」など、天津から輸入して日本で人気となった商品があり、香港でも輸入通販は継続できる、と。そこで取引先を探して香港中の化粧品屋さんをまわりました。底値を把握し、「ここだ」と思うお店に目星をつけて「200個買うから割引は?」といった交渉が始まったわけです。 お店には通訳なしに飛び込んだのですが、僕の英語が通用するほど甘くはない。苦戦していたところ、たまたまあるお店にいた青年が「この化粧品の仕入れを聞きたいんですか」と日本語で話しかけてくれた。「通訳してあげます」って。それがテイ・ハクヨウとの出会いでした。 《テイ氏は日本にいる華僑の遠戚だった》 テイ・ハクヨウのお父さんは日本の中華レストランに食材を卸している社長さんで、遠戚も日本の中華街で理事長を務めていた華僑です。彼のおかげで輸入通販の交渉はまとまりました。次はオフィスです。「仕事場だけでなく、できれば香港に住んでみたいな」と伝えたら、「ちょうどよかった。パパの家を貸してもらったらいいんじゃない」と言う。紹介されたのが、繁華街の旺角(モンコック)にある28階建ての物件で、部屋は4つもあってキッチンも広い。立地もいいし、この広さなら住むにも仕事場にもいい、と思ったのね。 築50年くらいの建物だったので、家賃は10万円くらいかな、と思って金額も聞かずに借りちゃったんです。それが請求は40万円。「ひどいな、だまされた」と思って不動産屋さんに聞いたら「この物件は40万円ではとても借りられません。香港は高いんですよ」と。香港の不動産価格を初めて知りました。 その後は「101」「美乳霜」などに加えて、「海藻せっけん」や塗るだけで痩せるクリーム「スヴェルト」がブームになり、輸入通販は順調にスタートしました。 《フィリピン人のメイドを雇った》
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