香港で大成功 ある日「娘を預かった」 メイドさん14人、わけのわからない男性も 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<22>
香港ではメイドさんがいない家って、ほとんどないわけですよ。お金持ちだから雇うのではなく、男性も女性も働く場所を求めるという社会なのね。女性も収入が12万円くらいあって、メイドさんの賃金が当時でだいたい4万円くらい。掃除も洗濯もしてくれるので、フィリピンやインドネシアなどから来たメイドさんを雇うわけ。
僕は日本への発送作業と仕入れがあるので、フィリピンの女性を雇った。妻もフィリピン人だったからね。最盛期はメイドさん14人と同居です。天津のときは現地スタッフは働いてくれなかったけど、香港ではメイドさんが働いてくれる。「スヴェルト」が爆発的に売れたときは品数が足らなくなって、「1人10個まで」とされたお店にみんなに並んでもらって仕入れたりね。輸入通販は軌道に乗り、僕は日本と香港を1週間ごとに往復する日々だったんです。
でも、いいことばかりではありません。あるときから、何かわけのわからない男性たちが出入りし始めた。どうもパキスタンの男性たちらしい。で、メイドさんたちとわいわい騒いでいる。僕は言葉がわからないから、「うるさいな」と思いながら、自分の部屋で日本のビデオを見ているわけですよ。
そのうち、夜になるとメイドさんが飛び降りそうになり、みんなで「やめろ、やめろ」って引き止めたり、とそんな騒ぎも起き始めた。もう嫌だなと思っていたの。そうしたらある日、1歳だった娘がいなくなった。で、「娘を預かっている。お金をもってこい」と電話がかかってきたのです。(聞き手 大野正利)
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