【海外トピックス】バイデン政権がCO2排出規制を緩和しEVシフトをスローダウン。欧州にも波及か?
欧州でもCO2排出規制値の見直しの声
EPAの発表翌日の3月21日に、ドイツのBMWが年次記者会見を行いましたが、ここでの質疑応答でもEUのCO2排出規制値が最大の関心事でした。修正が必要と考えるかと聞かれたツィプセCEOは、1.充電インフラの整備、2.顧客の行動、3.技術進歩のペースの3つの要素をあげ、これらを吟味して「実際的な(プラグマティック)」基準が必要だと述べました。同CEOは、以前よりエンジン車の禁止時期を定めることに懐疑的でしたが、今回も顧客の選択を制限する規制は「誤り」であり、EUで予定されている2026年のレビューがポイントになるという見方を示しました。 VWグループのオリバー・ブルーメCEOも、「充電インフラなどのEVの販売環境が整わない中で、CO2排出値の未達成で多額の罰金を受けることがないような調整が必要」と述べています。
EVシフトのペースに自信を見せるBMW
BMW自体は昨年EVの販売シェアが15%に達し、現時点でCO2排出規制値を20%下回っており、今年はEVの販売が「顕著に増加(significant increase)」する見込みで、2025年には比率が20%に達する見込みです。2025年に規制値が厳しくなるタイミングでMIMIやロールスロイスを含めて50車種のEVを品揃えし、2026年以降「ノイエクラッセ」シリーズも加わるためこの先のEV拡販に自信を持っており、2030年に販売シェアは5割に達すると予想しています。また、PHEVについてもツィプセCEOは「電気モビリティへの入門として重要」であり、「過渡的な技術というよりこの先しばらく重要な役割を果たす」と述べました。 BMWは、かねてより、BEV、PHEV、エンジン車と多様なパワートレインを用意して顧客のニーズに合わせた選択肢を用意してきましたが、この戦略が顧客に安心感を与えているのか、昨年世界で37万5000台のEVを販売し、そのシェア(15%)はドイツプレミアムブランドの中で最も高くなっています(メルセデスベンツ12%、アウディ9.4%)。 業績的にも、昨年の売上高が1555億ユーロ(前年比+9%)、自動車部門の営業利益が130億ユーロ(+22%)、利益率(EBIT)は9.8%と好調です。今年はX3のフルモデルチェンジや、中国では新型5シリーズの現地生産、MINIブランドでもEVを含めた新車攻勢が続きます。今期の販売台数は昨年の255万台(+6.4%)から微増の予想で、引き続き業績は順調に推移しそうです。