「日台関係は史上最良」台湾の李逸洋駐日代表インタビュー 「中国も民主の道歩むべき」
米国では共和党のトランプ前大統領が大統領選で勝利を収め、来年1月、第2次政権を発足させる。対中姿勢は不透明だが、李氏は「米中関係がどうであれ、米国の台湾政策は大きく変わらない。今後も緊密であり続ける」と指摘。「台湾は日米などと『民主の保護の傘』を広げ、台湾海峡の平和と安定を守り抜く覚悟だ」と述べた。
台湾は中国の反対で国連組織への参加が認められていない。中国は、中華人民共和国が国連における中国の唯一の正統な代表と認めた71年の国連総会決議2758号(アルバニア決議)を理由に「台湾は中国の一部だ」と主張し、「台湾は国際機関に参加する理由も権利もない」としている。
李氏は「決議に『台湾は中国の一部』の文言は一言もない。中国は勝手な解釈で誤解を広めている」と批判。「頼清徳総統は『中華民国(台湾)は中華人民共和国に隷属しない』と述べた。中国に台湾を代表する権利はない」とし、国連機関への参加容認を求めた。
■日本企業との連携進む
台湾の世界保健機関(WHO)などへの参加を支持する日本に謝意も示した。入手困難だったコロナワクチンを日本から供与されたことにも言及し、「温かい支援を受け、台湾の人々は今でも感謝の気持ちを持っている」と述べた。
李氏は日台関係について「史上最良の友好関係にある」と評価する。最新の世論調査で、日台双方ともに全体の8割弱が相手に好意的な印象を持っているといい、2つの国・地域がこれほど〝相思相愛〟なのは「世界でも珍しい」と話した。
政界関係者の交流も活発に行われ、経済関係も強固になっている。2月には半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本工場を開所。台湾の半導体企業の日本進出が相次いでおり、半導体のサプライチェーン(供給網)で上流にあたる素材や製造装置に強みを持つ日本企業との連携が進む。
TSMCは世界の約6割の半導体を製造している。もし中国の軍事侵攻などで台湾海峡が封鎖されれば半導体の供給が滞り、世界経済に悪影響を及ぼす。李氏は「日台の連携はサプライチェーン分散の意味でも重要だ」と訴える。