大橋ジムがトップアマと異例タッグ…28年ロス五輪金へ3選手とサポート契約、原田周大は尚弥とスパーも
プロボクシングの大橋ジムは9日、21年世界選手権金メダリストで、パリまで五輪2大会連続出場の岡沢セオン(28)=INSPA=、パリ五輪5位の原田周大(23)=専大=、高校6冠のホープ・片岡雷斗(18)=習志野高=とサポート契約を結んだと発表した。3選手は大橋秀行会長(59)と横浜市内で会見。スーパーバンタム級の世界4団体統一王者・井上尚弥(31)らを輩出した同ジムの支援を受け、28年ロサンゼルス五輪で金メダルを目指す。 日本ボクシング界にとって、画期的なプロジェクトが始動した。大橋会長は会見で「(岡沢、原田、片岡の)3選手が大橋ジム所属でオリンピックを目指すということになった」と紹介。トップアマが、プロのジムに所属して五輪に挑む。「初めてじゃないか」という異例の形で、4年後のロス大会に向けた活動を全面的にサポートする。 3人は来春から大橋ジムの所属となり、今後は同ジムを拠点に練習を積む。岡沢は、今夏のパリ五輪後に引退に傾いた時期もあったと明かし「そんな中で拾ってもらって、この環境があれば今よりも強くなれると思えた。ロスで金メダルを取るために続ける。ラストチャンスだと思ってやる」と決意を込めた。片岡は大学に進学せず競技に専念。「結果で恩返しできるように金メダルを目指して頑張ります」と宣言した。 学生時代にアマで活躍した大橋会長の熱い思いが具現化した。「アマチュアボクシングに恩返しができたらと、ずっと考えていた」。同会長は今年になり、高校卒業後のプロ転向を悩んでいた片岡に五輪を目指すことを勧めた。専大の後輩・原田が、岡沢と一緒に練習場を借りたいと頼ってきた。縁を感じ、サポート契約を3人に提案した。ドコモの映像配信サービス「Lemino」の協力も得て、金銭面の不安なく競技に打ち込める環境を整えた。 プロとアマで競技性は異なるが、相乗効果は早くも表れている。原田は10月以降、井上尚弥のスパーリングパートナーとして計20ラウンドも拳を合わせ、直近の国際大会で準V。「(試合で)誰も怖くなかった。やってきたことは間違ってなかった」と確信していた。 大橋会長も現役時代、84年ロス五輪を目指していた。届かなかった悔しさは、今でも忘れていない。44年後に同じロサンゼルスで行われる五輪。夢の続きを3選手とともにかなえる。(林 直史) ◆ボクシングのアマチュアとプロの交流 ラウンド(R)数はアマが3分3R、プロは最大で3分12R。アマが有効打の数や当てる技術、プロはダメージの深さやディフェンス技術に重点を置くなど競技性は異なるが、練習での交流は盛ん。最近ではWBA世界バンタム級王者の堤聖也(28)=角海老宝石=が、10月の世界戦前にアマで21年世界選手権優勝の坪井智也(28)=自衛隊=と練習した。
報知新聞社