「仮想空間でもハラスメント対応」…メタバースには「秩序維持」のための工夫がこんなにある
アニメやゲーム、映画の中だけの出来事だった「仮想現実」や「仮想空間」。 それらを「現実」のものにする革命的技術・メタバースの名が広まって早数年、VRやスマートグラス、Apple Vision Proが登場し、その存在はより身近なものになりつつあります。 【漫画】床上手な江戸・吉原の遊女たち…精力増強のために食べていた「意外なモノ」 しかし、そもそも私たちはなぜメタバースに、仮想空間という「もう一つの現実」に行ってみたいと思うのでしょうか。 そこには人間の根源的な、ある「欲望」があるのではないかと、哲学者の戸谷洋志さんは分析します。 戸谷さんの新著『メタバースの哲学』から、私たちの未来を変えるかもしれないメタバースの「正体」に迫るヒントをご紹介します(『メタバースの哲学』の一部を抜粋・再編集しておとどけします)。 【前の記事】「「ゲーム」と「SF」が、これからの社会を考えるうえで「重要な意味」をもつ理由」では、メタバースの起源についてみました。ここでは、メタバースの現状をくわしくみます。 *
メタバースの現状
実際に、メタバースと呼ばれるプラットフォームやサービスには、どのようなものがあるのだろうか。いくつか、その具体例を眺めてみよう。 「はじめに」でも書いた通り、メタバースの社会的な認知を促進させた出来事は、旧Facebook社のMeta社への社名変更だろう。同社は、高性能な独自のヘッドマウント・ディスプレイを開発・販売すると同時に、それによって利用することができるメタバース・プラットフォーム「Horizon Worlds」を提供している。以下では、このプラットフォームの特徴を概観してみよう。 ユーザーは、自分の分身であるアバターを操作して、他のユーザーとコミュニケーションしたり、一緒にイベントに参加したりすることができる。会議やプレゼンテーションを行うこともでき、ビジネスのために利用することもできる。 他のユーザーと一緒にゲームをプレイすることもできるし、物理空間の様々な場所が「ワールド」として再現されているため、そこを観光することもできる。