“捨て試合”はありか?なしか? ヤクルトの山田、青木、バレ主力途中交代の是非
神宮球場で18日に行われたヤクルト対阪神戦で物議を醸す采配があった。ヤクルトの小川淳司監督は2-10と大差をつけられると4回終了時点で、山田哲人(26)、バレンティン(34)、青木宣親(37)の主力3人を一気にベンチに下げて控え選手と交代したのである。まだ中盤だというのに、もう試合を捨てたような采配に「ファンをバカにしている」「お客に失礼」という批判と「戦略的には正しい」という賛成意見が交錯した。試合はヤクルトの5-13の大敗。さて、この采配をどう評価すべきだろうか。
ざわついた神宮のスタンド
5回表。ヤクルトの選手交代を告げる場内アナウンスに神宮球場がざわついた。 4回に4号ソロを放っていた山田、4番のバレンティン、初回にセーフティスクイズを仕掛けた青木の主力3人が揃ってベンチに下がり、廣岡大志(22)、塩見泰隆(25)、上田剛史(30)が入ったのである。スコアボードは「2-10」。体調不良の寺原隼人(35)が抹消された関係で空いたローテーの穴に中継ぎ7試合で防御率0点台だった2年目の大下佑馬(26)を抜擢したが、2本の本塁打を含む8安打を浴び6失点して3回持たず、2番手の中澤雅人(34)もまた炎上して、もうワンサイドゲームになってしまっていた。 だが、阪神の先発は、2017年10月1日の巨人戦以来、勝ち星のない今季初登板の岩田稔(35)である。序盤はボールが浮いていたし、ヤクルト打線の爆発力からすれば十分つけいる隙のある投手だったにもかかわらず、4回にクリーンナップの打順が終わると5イニングを残して事実上ギブアップしたのである。 すぐさまスタンドに上がってヤクルトファンの反応を取材したが、あからさまな怒りの声や、ゾロゾロと席を立つような様子は見られなかった。小川采配に理解を示すようなファンの“大人の対応”にも感じた。 試合後、小川監督は、この主力の早期交代について「総合的に判断した」と説明した。 チームは、16日に愛媛の松山で試合を行い、翌17日は、空路松山から東京へ移動して神宮での当日ナイター。18時30分に試合開始を遅らせたが、延長12回を戦って2-2のドローとなり試合時間は3時間53分だった。しかも、19日は、また移動日無しで名古屋での中日戦。強行日程と主軸の疲労度を考慮して、37歳の青木と、時折、膝を気にする様子を見せていたバレンティン、そして山田に休養を与えたのだろう。年間90勝して優勝したとしても53敗はする。いかにその負けゲームを有効利用するかを考えた長期的なチームマネジメント、チームコンディション戦略としては“あり”である。 だが、チケットを買ってもらっているお客さんに対して“捨てゲーム”と取られても仕方のない采配やスター不在のオープン戦の試合後半のような試合を見せていいのかという議論は、当然ある。 ネット上でも、この采配に対する批判の声は少なくなかった。 「この1日を楽しみに見に来ていた子供やファンの方がいると思うと残念。スポーツは一種のエンターテイメント」 「お客さんはスターを見に来ている。入場料の半額を返せ!」 「この交代はありなの? 球場に来ているファンを馬鹿にしてない?」 「まだ5回やで。相手阪神。何があるかわからんで?」 「今日見に来たヤクルトファンは可哀想。 こんな明らかに試合捨てたみたいな交代見せられたら」