「死ぬぎりぎりまで働けってことですか」トラック運転手の働き方改革、国の主導で実現できる? 長時間労働+ただ働き…どうなる物流の2024年問題
国土交通省の調査によると、「荷待ち」と「荷役」により、運転手は1運行当たり計3時間近く拘束されている。このため、法改正やさまざまな規制で荷主側に時間短縮を促している。 国交省のある幹部は、改革実現のために、荷主の姿勢が問われていると話す。 「荷主が運転手の貴重な勤務時間を使ってでも荷役をやらせるなら、約款に明記し対価を払ってもらいます。払いたくないなら、自分たちで設備投資をして荷役をしてもらいます」 ▽残業が減れば収入も減る… 長時間労働が解消されればいいという問題でもない。残業が減れば収入もその分だけ下がり、生活が成り立たないという懸念だ。運送業界は残業時間で稼ぐ働き方が常態化しているためだ。 国は賃上げを目指し、原資となる運賃の目安「標準的な運賃」を平均で8%引き上げた。荷主側に適正な運賃で発注することも呼びかけるが、強制力はない。このため、運送業者に不当な安値を押しつける荷主の監視体制も強化した。
NPO法人「POSSE」代表理事で労働問題に詳しい今野晴貴さんは、運転手の立場の弱さを指摘する。 「賃金が低い運転手は自分の権利を主張しにくい」 仮に主張しても、運送業界には多重下請け構造という別の問題がある。「立場の弱い下請けで働く運転手は、たとえ過積載や労働災害隠しなどに加担させられても声を上げられない。だから違法状態がまかり通っている」 現状を変えるには、どうすればいいのか。 「運転手は法律に明記されたことをしっかり主張してほしい。荷主側は、今のままのほうが利益になることがはっきりしている。それを変えるだけの圧力を国がかけられるのかという、ある意味単純な話でもある」