「死ぬぎりぎりまで働けってことですか」トラック運転手の働き方改革、国の主導で実現できる? 長時間労働+ただ働き…どうなる物流の2024年問題
荷待ちは、荷主が指定した時間に荷物を積む場所に到着してから待たされる時間。支部長は、約20年のトラックドライバー歴で半日以上待たされることがざらだったと明かす。 「遅刻は許されません。早く着いても嫌がられる。でも時間通りに着いたのに、いつ呼ばれるか分からないんです」 携帯電話に連絡が入るまで、どこか別の場所で待てばいいと思われるかもしれない。でも、大きなトラックを止めるスペースが簡単に見つかるとは限らない。荷主側も違法駐車をさせるわけにいかない。「どこかその辺で待ってて」と言葉を濁すという。 こうした時間は、一部の例外を除けば「サービス残業」扱いが業界の常識だという。 ▽運転とは関係ない「荷役」まで 一方、荷役は、荷物の積み降ろしや倉庫への運搬といった作業を指す。 支部長が自身の経験を話してくれた。 「例えばパレットに積まれたみかん箱サイズの箱は大型トラックには700箱ぐらい載ります。中身や重さにもよりますが、手積みすれば2時間半から3時間ぐらいかかるんです」
ショッピングセンターやデパートで積み込む場合、離れた倉庫まで荷物を取りに行くこともある。 「走行中の荷崩れを防ぐためにも荷物は自分で積みたい。できれば、トラックの前まで荷主に運んできてほしいんです」 スーパーやドラッグストアの倉庫では、古い商品を手前に置き、新しい商品を奥に保管する「先入れ先出し」を運転手が担うことも。手前の商品を一度全て出さなければならないため、かなりの手間がかかるという。 国もこうした状況は問題視している。効率化策の一つとして勧めるのがフォークリフトの導入だが、「これも簡単ではありません」と支部長は指摘する。 まず、荷主側にフォークリフトを運転できる人は大手企業を除けば少ない。さらに、降ろした荷物をフォークリフトで運んでも保管するスペースがない場合も多い。 「仮に、パレットに積んだ荷物をフォークリフトでトラックの目の前まで運べたとしましょう。そのパレットごとトラックに積めればいいのですが、荷主側はパレットを持っていかれることを嫌がります。だから運転手が手作業で積むことになるんです」