メキシコ版・餃子の皮!?日本で「トルティーヤ」がじわじわ人気になっていた
【あの食トレンドを深掘り!】日々生まれている食のトレンド。なぜブームになったのか、その理由を考えたことはありますか? 作家・生活史研究家の阿古真理さんに、その裏側を独自の視点で語っていただきました。 ◇ ◇ ◇
メキシコ料理の定番食材「トルティーヤ」が今人気
以前、タコスの流行をご紹介したのは2022年。あの頃以来、スーパーや外国食材店で定番商品の仲間入りしたと思われるのが、タコスの皮となるトルティーヤである。実はそのトルティーヤが単独で、流行しつつある。今回は、どんな風になぜ広がっているのかを、考えてみたい。 クックパッドの食の検索データ「たべみる」によると、「トルティーヤ」の検索頻度はコロナ禍で上がった。2022年にいったん下がったものの、その後再び上昇傾向にある。2023年は2022年から105・9パーセントの上昇率で、今年はさらに頻度が上がり、2023年の113・9パーセント増となっている。 背景として、専門店が増えるなど、タコス自体の流行がさらに広がっていることがある。タコスは今、世界で流行が広がっているが、その要因の一つは、ネットフリックスのドキュメンタリー番組「タコスのすべて」が人気を集めたことだ。日本もその渦中にある。フードカルチャーを発信する雑誌『RiCE』(ライスプレス)も5月号で「タコスのリアル」という特集を組んでいる。また、今年3月28日、メキシコ大使館が「タコスの日 1st Celebration Party 2024」と題したイベントを開催し、全国から集まった10店のタコス店が競う「タコスグランプリ2024」を実施し宣伝に努めているようだ。 トルティーヤについては、2023年6月に東京・代々木上原で日本初のトルティーヤ専門店「ニュー・クラシック・トルティーヤ・クラブ」が誕生した。ウェブ版『ブルータス』2024年6月11日配信記事「日本初のトルティーヤ専門店。代々木上原〈New Classic Tortilla Club〉ができるまで」によれば、開業したきっかけは、オーナーが焼きたてのトルティーヤで出すタコス専門店「ロス・タコス・アズーレス」で食べたことだった。同店は2018年に三軒茶屋で開業。メキシコの在来種、ブルーコーンを使った青黒いトルティーヤを、メキシコ人オーナーが現地と同じ製法で作っている。 日本ではメキシコ料理店自体が少ないうえ、アメリカのテキサスなどでアレンジされたメキシコ料理のテックス・メックス系の店が中心で、テックス・メックスから広まったことやスナック菓子のイメージも強いことから、メキシコのトルティーヤを知らない人は多い。かく言う私も、ロス・タコス・アズーレスで初めてメキシコスタイルのトルティーヤを食べ感動した1人だ。トウモロコシ粉のトルティーヤはパサパサ、と思い込んでいたのに、ここのものは若干のしっとり感がありトウモロコシの香りとうま味が感じられる。