1時間かけて作った料理を5分で食べる夫。「早食いは健康によくない」と言われますが、どのようなリスクがあるのでしょうか?
早食いする家族がいる方のなかには、健康への影響を心配している方もいると思います。健康リスクがあるのであれば止めるよう促したいところですが、知識が曖昧だと説得も難しいでしょう。 そこで今回は、早食いがもたらす健康リスクについて解説します。家族に早食いの方がいる場合はもちろん、自分にも早食いの傾向があると感じる方も、ぜひご覧ください。 ▼4人家族で食費「月8万円」は高い? 1人当たりの“平均”もあわせて解説
早食いによる健康リスク
早食いがもたらす健康リスクには、次のようなものが挙げられます。 ●肥満 ●血圧上昇 ●脂質異常症 ●血糖値上昇 ●狭心症 ●心筋梗塞 肥満には、脳の仕組みが関係しています。独立行政法人労働者健康安全機構北海道中央労災病院治療就労両立支援センターによると、食事を始めてから脳が満腹と感じるまでに要する時間は、最低20分とのことです。そのため、早食いの人は、十分な量を食べていても満腹感を得にくく、過剰な量を摂取してしまうのです。
早食いしないためのポイントは「ゆっくり、多くかむこと」
早食いが健康に害を与える理由に、かむ速度が速くなりやすいことと、かむ回数が少なくなりやすいことがあります。食事の際は、ゆっくり、多くかむことが重要であり、これを継続することで、おもに以下の4つのメリットを享受できると考えられます。 ●脳が発達しやすくなる:顎を開けたり閉じたりする動作は、脳の働きを活性化し認知症予防にもつながります。 ●歯の病気を予防する:かむと唾液が分泌され、むし歯や歯周病の予防につながります。 ●胃腸の働きを活性化させる:よくかむことで消化酵素が分泌され、食べ物を消化吸収しやすくなります。 ●食べ過ぎを防げる:少量の食事でも満腹感を覚えやすくなります。 早食いでかむことを怠ると、上記の機能が一般の人よりも劣ることになり、さまざまな健康リスクを高めるでしょう。将来的には、医療費による負担が増大し、普段の生活に影響を及ぼす可能性も考えられます。
早食いは家計にも影響を与える可能性がある
早食いは家計にも影響を与える可能性があります。要因はおもに2点です。 1点目は、食費の増加です。早食いは満腹を感じにくいため、食費が高くなりやすいです。 心当たりがある場合は、世帯のエンゲル係数を計算し、平均値と比較するとよいでしょう。エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の比率です。「食費÷消費支出×100」で計算でき、エンゲル係数が大きいほど、食費の負担が重いことを意味します。 総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯におけるエンゲル係数の平均は27.8%です。この値を上回っている場合は、食費がかかりすぎているかもしれません。 2点目は、医療費の増加です。前述の通り、早食いは、さまざまな健康リスクを高めます。その結果、体調を崩しやすくなり、通院や入院が増えるおそれがあります。