実家の「ゴミ屋敷化」はすでに始まっている…年末年始に帰省しても"老いた親の異変"に気づけない本当の理由
■草はボウボウ、玄関はゴミの山 PKさんが叔母夫婦と深く関わらざるをえなくなったきっかけから見てみよう。 【PKさん】「まず、叔父が救急車で病院に運ばれたんです。『おじちゃんが救急車で運ばれたみたい。ちょっとあんた行ってあげて』と母から連絡があって、駆けつけたんです。で、病院に行ったら、叔母がパニック状態で。だから『いったん自宅に帰ろう』と連れ帰ったんです。 そうしたら、庭の植木は伸び放題、草はボウボウ。玄関のドアを開けた瞬間、ビニールのゴミ袋が20個ぐらい置いてあって。目の前がゴミの山よ。私、愕然(がくぜん)としてね。いったい、何がこの家に起きているんだろうと。叔母も叔父もしっかりしているし、しっかりできているものと思っていたから。もう、私、絶句よ。 玄関から中に入ったら、なお、絶句よ。台所はしっちゃかめっちゃか。洗い物が、ワーッと汚れた皿やなんかがあって。冷蔵庫を開けたら、傷(いた)んでカビが生えたものが入っているし。叔母の部屋は服が散乱して、山積み。これはいったいどうなっているのかと。瞬間、理解ができなかった」 この状況で、叔父が倒れる前まで、夫婦は毎週火曜日に二人で買い物に行き、叔母が食事をつくる生活を続けていたのだという。 ■「自分が困ったからといって、息子たちには頼れない」 だが、叔父が「しっかりしている」人であるならば、なぜ真っ先に、息子たちに助けを求めなかったのだろうか。また、それ以降も息子たちではなく、PKさんを頼り続けているのだろうか。その点を聞いてみた。 【春日】「そんな状態なのに、なぜ叔父さんと叔母さんは、息子たちに『どうか助けて』と言うのではなく、PKさんの世話になる方を選ばれているのですか。息子たちには『来ないでいい』という感じなんですか?」 【PKさん】「それで、私も聞いたのよ。『おじちゃん、どうしようと思っているの? これから』って。そしたら、『息子たちは中高一貫の学校に行って、早くから自分の手元を放している。だから、この子たちに自分たちは世話になれない。手をかけさせてはならないと思っている』と、そう言うんです。 『自分が困ったからといって、悪いけど助けてくれとはよう言わない』『それに二人とも仕事がある』と。『ええっ。そうなん。そういう気持ちなんだ』と私も思って。まあ、それ以上、私は何も言えない。それが叔父の気持ちならね」 中高一貫の学校から大学に進学し、大都市で安定した暮らしをする2人の息子たち。にもかかわらず、息子たちに頼らず、姪を選ぶ。その理由が「世話になれない。手をかけさせてはならない」「仕事がある」の2つだった。頼られたPKさんも、仕事で多忙な日々であるにもかかわらず。