富士山からの清冽な伏流水が湧きだす水の都・三島を歩く
そのまま南下していくと中郷温水池に到着する。富士山のビュースポットで、霊峰が目の前に迫り来る絶景が楽しめる。今度は源兵衛川を遡ってみよう。中流に位置する水の苑(その)緑地には、カワセミも生息しているとか。 昼食は名物のうなぎを食べたい。三島広小路駅近くの「うなぎ 桜家」は地元で有名な老舗だ。富士山の伏流水にうなぎを3~4日さらすことで、臭みが取れる。白焼きはふんわりととろけそうな中に上品なうまみを感じられる。うな重は備長炭で焼き上げたうなぎの照りが美しく、さっぱりと甘すぎないタレでご飯が進む。 ちなみに、三島市の水道は地下水が水源といい、「お米を炊くとおいしさを実感できます」と三浦さん。 源兵衛川は室町時代の豪族、寺尾源兵衛が灌漑用に引いたといわれる。遊歩道が整備され、飛び石づたいに文字通り川の上を歩ける場所もある。スリリングながらも、透き通った水のせせらぎや水辺の緑に癒やされる。向かい側から人がやってきたら、脇にそれてあいさつをしながら譲り合うのも気持ちがいい。広瀬橋近くのベンチで川に足をつけるのも爽快だ。 三浦さんの一押しは少し離れた「境川・清住(きよずみ)緑地」。清水町との境にあり、2020年に拡張整備された。水がごうごうと湧き出す様子は迫力十分だ。 一日歩いて特に印象深かったのは、川にも道にもごみがなくきれいに保たれていること。源兵衛川も高度成長期以降は排水による汚染が問題になっていたが、市民や行政、企業などが協働し、美しい風景をよみがえらせた。 これから雪解け水の量が増え、源兵衛川では5月から6月にかけてはホタルも見られるという。散策にぴったりの爽やかな季節を迎える。 文/星 裕水 写真/阪口 克