あらゆる状況に対応できるスーパーカー、W1

エアロダイナミクスを重視して、ドアの開閉は伝統のディヘドラル式からアンヘドラル式（いわゆるガルウイング式）になった。

2024年11月13日、マクラーレン オートモーティブは10月6日にワールドプレミアしたばかりのアルティメット スーパーカー「W1」を早くも日本のメディアやカスタマーに向けて公開した。 【写真はこちら】 サーキット専用モードでは車高が下がり、前後のアクティブ リアウイングが展開（全9枚） ボディの一部はガンメタリックに塗装されているが、パネルの多くは剥き出しのカーボンファイバー製だ。 マクラーレンの最新アルティメット スーパーカー「W1（ダブルワン）」に関しては、本国で発表されたときに当Webモーターマガジンでも紹介しているが、もう一度簡単におさらいしておこう。 現代のスーパーカーのベンチマーク的存在となった1992年のマクラーレンF1、2012年のPHEVハイパースポーツカー、マクラーレンP1の革新的な継承モデルとして登場したのが、このマクラーレンW1だ。その名は「ワールド ワン」つまり世界チャンピオンを意味する。 パワートレーンは新開発の4L V8ツインターボにエレクトリックモジュールを組み合わせたハイブリッドで、システム総合の最高出力は1275ps、最大トルクは1340Nmを発生する。しかもマクラーレンがスポーツカーの信条とする徹底した軽量化により、最軽量乾燥重量は1399kgにおさえられ、パワー／ウエイト レシオは911ps／トンという、マクラーレンのスーパーカー史上最高の数値を実現した。 これにより、0→300km／h加速はスピードテールを上回る12.7秒以下、マクラーレンが基準とするサーキットのラップタイムではマクラーレン セナより3秒も速いタイムを記録している。 レースからフィードバックされた革新的なグランドエフェクト エアロダイナミクスにより、圧倒的な高ダウンフォースと低ドラッグを実現。さらにサーキット専用のレースモードではフロントが37mm／リアが17mm車高が下がり、前後のアクティブ リアウイングが展開し、テールは最大300mm後方に伸びて最大1000kg（前350kg／後650kg）のダウンフォースを発生する。 ボディデザインは、サイドインテークのアンダーカットなど、F1マシンの先進的エアロダイナミクスから大きく影響を受けている。また、マクラーレン車のアイデンティティであった前ヒンジのディヘドラルドアから、上ヒンジのアンヘドラルドア（いわゆるガルウイング式）に変更された。これは、フロント部にヒンジを設けないことで空気抵抗を削減するためであるという。 固定式シート（ポジションはペダルとステアリングホイールで調整）やハイパフォーマンスなパワートレーンなどから、W1はスパルタンなレーシングカーのようなクルマに思われるが、現代のスーパーカーらしく快適性を重視している。コクピットはクラス最高の視界が確保され、室内空間は意外と広い。そしてMSO（マクラーレン スペシャル オペレーションズ）が手がけるパーソナライゼーションも用意されている。