30代、一度も交際経験がありません。恋愛や結婚、なぜ私にはできないの……? 高尾美穂医師に聞く
女性の人生は、体調のリズムやその変化と密接な関係があります。生理、PMS、妊娠、出産、不妊治療、更年期……。そうした女性の心と体に長年寄り添ってきた産婦人科医・高尾美穂さんによる連載コラム。お悩み相談から生き方のヒントまで、明快かつ温かな言葉で語りかけます。今回は「交際経験がない」というコンプレックスについて考えます。 【画像】撮り下ろし写真(高尾美穂)
Q. 30代ですが今まで誰とも付き合ったことがありません。誰かとお付き合いをし、結婚をして子どもも欲しいと思っていますが、交際経験がないことから自分に自信を持てません。普通に恋愛して結婚している人はたくさんいるのに、なぜ私にはできないんだろう、と思ってしまいます。(30代前半、女性) 高尾美穂医師(以下、高尾): これは、「恋愛とは誰かに選ばれるもの」という受け身的な考え方だと陥りがちな発想ではないでしょうか。「ほかの人は誰かに選ばれているのに、自分は誰にも選ばれていない」と思っているのではないかと思います。でも、誰かと付き合いたい、結婚したい、子どもが欲しいという気持ちがあるなら、受け身でいるだけでなく行動を起こしていく必要があると思うんです。 「誰かに選ばれるのを待つ」というスタンスでいるとしたら、主体性が足りていないともいえます。もしかしたら恋愛以外の場面でも「自分はこうしたいからアクションを起こす」という思考回路で動くということが少なく、その結果いろいろなことを自分の中でコンプレックスにしてしまってはいないでしょうか。
女性は誰かに「選ばれる」存在?
――社会の中に「女性は男性から選ばれるもの」という刷り込みもあるように思います。 高尾: そういう傾向はあったのでしょうね。でも、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)の考え方をもっとしっかり持ってほしいと思います。自分のセクシュアリティや子どもを持つ・持たないを主体的に決めていくという考えですね。 一番大事なことは、自分がどういう人生を過ごしたいのか、将来的な人生設計を考えるということです。その中に子どもを持つという望みがあるなら、パートナーと出会うことが必要で、そこに時間とエネルギーを注ぐ時期が必要になります。そうやって、叶えたいことがあったら逆算して考えて、行動していくことが必要だと思います。