食べ残しの持ち帰り、ホテルなど独自ルールも 食品ロス削減向けガイドライン案
外食での食品ロス削減に向け、厚生労働省が検討してきた食べ残した料理を持ち帰るためのガイドライン案が6日、大筋で了承された。これまでも一部のホテルや飲食店では廃棄を減らせるメニューの開発や持ち帰り容器の導入などを進めてきたが、食中毒などのリスクへの懸念から二の足を踏む事業者もある。国はルールを明確化することによって、事業者と消費者双方の意識や行動の変化を促したい考えだ。 ■240キロ削減 ホテルメトロポリタンエドモント(東京都千代田区)では、令和4年から食べ残しを持ち帰るための容器を導入した。レストランと宴会場で希望者に注意点を示したチラシと専用容器を無料で配布する。 持ち帰り可能な料理は中心を75度以上で加熱した料理に限定し、夏場は原則行わないなど独自の安全基準を設けている。 背景には食べ残しの廃棄の多さがある。同ホテルが平成30年6~10月に各現場の生ごみ量を調べた結果、宴会厨房が14・7トン、宴席終了後の宴会場が25・6トン、レストラン厨房が10・6トンに上った。その後、食材を無駄なく使った料理を開発したり、宴会で食べきりタイムを設けたりして、廃棄量を減らしてきた。持ち帰り容器を導入した後の令和4~5年度にはグループの9ホテルで計960回の持ち帰りがあり、約240キロの食品ロスを減らせたという。 同ホテルの総支配人、松田秀明さんは「残さず食べきることが前提だが、どうしても残ってしまう。国や自治体、事業者、消費者が一緒に課題に取り組むためのルールを作ることで、持ち帰りに関する取り組みの認知度も高まり、外食産業の食品ロス削減につながる」と期待する。 ■実効性がカギ 国は食品ロス削減に向けた取り組みを進めてきた。環境省は令和2年、持ち帰り用の容器「ドギーバッグ」を広めようと、愛称やデザイン案を一般から募り、愛称には「mottoECO(モッテコ)」が選ばれた。 外食大手チェーンや同ホテル、自治体など産官学21団体が参画するモデル事業「モッテコ普及コンソーシアム」では、共通のロゴ入りのドギーバッグの普及や食品ロス削減の仕組み作りに知恵を絞る。5年度末で1095店舗が参加。合わせて約29万回の持ち帰りがあり、食品ロスを年間で72・4トン削減した。