前期比40~50%増の売上高を維持する秘訣とは? カンロの自社EC管掌・武井デジタルマーケティングチームリーダーに聞く
「ホシフリラムネ」シリーズは、「ラムネを売る」というよりは、「ストーリーと体験を売る」という感覚。だからこそ、この価格に設定した。
同様に、「シークラゲグミ」という商品も、「ホシフリラムネ」同様に、体験価値そのものを売る商品で、単なるグミとは思っていない。クラゲをグミで表現し、まるで海のようなパッケージに「閉じ込めて」いる。価格は1500円(税込)で、内容量は99グラム。
アメやグミが持つ視覚的な良さはカラフルであること。商品開発やブランドストーリー構築にあたっては、世界観に合うカラーリングを施せることも一役買っている。 「ホシフリラムネ」も「シークラゲグミ」もECのみで販売。いずれも引き合いは高まっており、販売は成功している。 ――課題に感じていることは。 武井氏:EC専売商品は、リピート購入やLTVの引き上げにまだ課題があり、社内で議論しているところだ。たとえばヒトツブカンロの人気商品「グミッツェル」とヒトツブカンロの他の商品の詰め合わせを毎月届ける定期便を展開しており、サブスクの利用増加につながってきた。 ■ 商品だけでなくカンロそのもののファンを増やす ――メーカーECならではの強みや、今後の意気込みを教えてほしい。
武井氏:常設の直営店があるので、オンラインとオフラインの販路で連携しやすい。現在のEC専売商品を、いずれは一般流通にもつなげていきたいという狙いがあるので、商品だけでなくカンロそのものを好きになってもらうことを意識している。
たとえば、「『ピュレグミ』が好きで頻繁に購入するが、カンロの商品だと知らなかった」という人もいる。ファンであることに自覚がないまま、カンロの商品を購入している人は多い。ECサイトで「カンロではこういった商品を展開している」という認知も広げていきたい。自社商品が市場に多く流通しているという、メーカーならではの強みも生かせる。 他社商品ではなく、カンロを選んでもらうためにはファン化が必要だ。ECの会員登録、リピート購入の促進など、さらなるファン化・リピーター化を促していく。会員顧客は会社の資産、財産であり、成長のためには欠かせない。現在は、メルマガ会員も含めて約20万人の会員数となっている。 2025年は、クローズドなファンコミュニティを作り、コアなユーザーの声をヒアリングする機会を設ける予定だ。 ◇ ◇ ◇ この連載では、通販・EC業界の発展に貢献する「人」を顕彰する「ネットショップ担当者アワード」(2024年11月20日に第2回授賞式)受賞者にインタビューを実施しています。本記事でとりあげた武井氏がどのような賞を受賞するかは授賞式当日に発表します。授賞式にぜひご参加ください! 参加無料・事前登録制にて、あなたのお申し込みをお待ちしています。