顧客体験に直結するベクトル検索を独自開発--間接資材ECサイトのモノタロウ
事業者向け間接資材ECサイト「monotaro.com」を運営するMonotaRO(モノタロウ)は、商品検索システムにベクトル検索を導入。2024年11月から稼働させている。同社がその取り組みを発表した。 発表した執行役 ITエンジニアリング・データサイエンス管掌 ECシステムエンジニアリング部門長の普川泰如氏は、「モノタロウでは数多くの商品を取り扱っているが、どんな入力ワードでも精度が高く、検索結果を返すことができる環境を構築でき、利用者の利便性を大きく向上させることができた」と自信を見せた。 同サイトは、製造や工事、自動車整備などの現場で必要とされる工具、部品、消耗品、事務用品など2370万点以上の商品を取り扱っているのが特徴。事業拡大に伴い、膨大な商品の中から最適な商品を見つけ出すことが難しくなるという課題が生まれていたという。 普川氏は、「商品点数が増加し、購入形態が複雑になるといった課題をITやデータサイエンスの活用により解決した。テクノロジーを活用して、価格透明性を実現すること、ワンストップで必要なものを全て提供できること、すぐに見つかり購入できることを目指している」と述べる。 続けて、「一般的なベクトル検索では低くなりがちな入力ワードと商品間の高い関連度をモノタロウが持つ商品情報やユーザーの購買行動といった1次データを利用することで、精度を確保したベクトル検索を実現した。データとアルゴリズムの力を活用して、お客さまに最適かつパーソナライズされたECサービスを提供し、ビジネス成長に貢献していく」と語った。 ベクトル検索は、テキストの意味をベクトル(数値情報)として表現し、そのベクトル間の類似度によって検索を行う技術だ。商品名や商品情報などの各テキストをベクトル表現に変換し、検索ワードと商品情報の意味的な近さを計算。類似度を基に検索することで、検索ワードに対して高い関連性を持つ商品のリストをユーザーに提供できる。 従来の仕組みでは、例えば「手袋」と検索すると、1万点以上の候補が検出されるものの、上位に表示されるのは数点であり、最適な商品にたどり着けなくなっていたとのこと。自然文で入力すると、検索結果が0件の「Null Search」となるケースが1日に10万件にも達しているという課題もあったそうだ。