イーサリアム、直近四半期で過去最高のインフレを経験:フィデリティ
フィデリティ・デジタル・アセッツ(Fidelity Digital Assets)は先週の報告書で、イーサリアムブロックチェーンは直近四半期に過去最高のインフレを経験し、総供給量に約11万ETHが追加され、年間インフレ率0.37%に相当すると述べた。 「イーサリアムの供給量に劇的な変動が生じる可能性は、短期から中期的には考えにくい。しかし、手数料の安いレイヤー2プラットフォームへの需要の高まりやステーク需要の増加を考えると、インフレ傾向の四半期がより頻繁に生じる可能性がある」とアナリストのダニエル・グレイ(Daniel Gray)氏とマックス・ウェディントン(Max Wadington)氏は書いている。 報告書によると、ネットワークのバリデータ数は4月以降5%増加しており、最近導入されたリステーキングにより、ステーキング需要がさらに増加する可能性があるという。 イーサリアム現物ETF(上場投資信託)がアメリカで7月23日以降、取引可能になる。これにより、暗号資産(仮想通貨)へのアクセスが広がるが、一部の著名企業は、これらの現物ETFに対する初期需要が予想を下回る可能性があると警告している。 第1四半期の「デンクン(Dencun)」アップグレードを受けて、フィデリティは「レイヤー2プラットフォームの導入が目覚ましい」と指摘し、レイヤー2での取引が約20%増加したことを挙げている。また、その成功はイーサリアムネットワークの将来にとってポジティブな指標となり得ると述べている。レイヤー2は、ベースとなるブロックチェーン(レイヤー1)の上に構築された別のブロックチェーンだ。 イーサリアムは現在、第2四半期末の2050ドルといういわゆる実現価格より約67%高い水準で取引されていると報告書は述べている。これは、ETHが2021年の最高値を大きく下回っているにもかかわらず、過去最高だ。実現価格は、チェーン上で最後に移動した時点の価格の平均値で、現在のETH保有者の平均原価基準を把握しようとする指標だ。イーサリアムはここ数日、3500ドル付近で取引されていた。 これは「2021年の高値に比べ、投資家はより安心してイーサリアムに投資している」ことを示しているとフィデリティは述べている。年初の好調なスタートの後、フィデリティは、第2四半期にイーサリアムのベースレイヤーの基礎的な指標がすべて低下したと指摘している。月間新規アドレスは16%減、アクティブアドレスは14%減、トランザクション数は9%減だった。 それでも、レイヤー2のエコシステムが引き続き発展することによって、「レイヤー1の評価への指標の影響力は低下する見込み」だとレポートは付け加えている。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Ethereum Experienced Its Highest Inflationary Period in the Last Quarter: Fidelity
CoinDesk Japan 編集部