名古屋ウィメンズで好タイムVもパリ五輪代表には届かず…MGC方式は本当に世界と勝負するためにベストの選考方法なのか?
パリ五輪代表の最終選考会を兼ねた名古屋ウィメンズマラソンが10日、バンテリンドーム発着のコースで行われ、安藤友香(29、ワコール)が自己ベストとなる2時間21分18秒で初優勝したが、1月の大阪国際女子で前田穂南(27、天満屋)が更新した2時間18分59秒の日本記録には届かず、パリ五輪代表切符を逃した。女子マラソンのパリ五輪代表は、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の1位、鈴木優花(24、第一生命グループ)、2位の一山麻緒(26、資生堂)と前田の3人に決まった。 【画像】「ポロンあるかも」井岡一翔の大晦日決戦を盛り上げた4人のラウンドガール
名古屋からパリへ。名古屋ウィメンズマラソンに出場する日本勢のターゲットは1月の大阪国際で前田がマークした日本記録の2時間18分59秒。このタイムを狙って、ペースメーカーの設定はキロ3分18秒(5㎞16分30秒ペース)となった。 5㎞は16分28秒で進むも、10㎞は33分05秒(5㎞16分37秒)とペースダウン。中間点は1時間09分56秒で通過した。単純に2倍すると、フィニッシュタイムは2時間19分52秒。この時点で日本記録の更新はかなり難しい状況だった。 さらに25㎞を過ぎると、日本人選手は苦しくなる。まずは鈴木亜由子(日本郵政グループ)が遅れて、安藤と加世田梨花(ダイハツ)もトップ集団から引き離された。 「記録が難しいのは頭にちらついていたんですが、マラソンは何が起こるかわからない。前だけを見て走りました」 パリの夢が遠のくなかで、奮起したのが安藤だ。 トップを争っていたゴティトム・ゲブレシラシエ(エチオピア)とユニスチェビチー・チュンバ(バーレーン)に30㎞通過時で30秒遅れていたが、35㎞通過時で21秒差に短縮。36.5㎞でオレゴン世界選手権女王のゲブレシラシエが突如、立ち止まり、レースの行方がわからなくなってきた。 加世田を引き離すかたちになった安藤は昨年のアジア大会女王の背中に近づいていく。 「チュンバ選手の姿が大きくなってきていたので、優勝したいという気持ちを強く持ちました」 安藤は39.3㎞でチュンバに並ぶと、逆転に成功。7年ぶりの自己ベストとなる2時間21分18秒(日本歴代8位)でマラソン初優勝を飾った。 「目標は達成できませんでしたが、日本記録を狙うと決めて、練習を積めたことが今日の結果につながったと思います。過去のマラソンは、苦しくなって離れたときに、自分の弱さで諦めてしまった部分がありました。それが走り終わったときの後悔として残っていたんです。同じ過ちを繰り返してきていたので、今日は前だけを見つめて、絶対に諦めない気持ちで走りました。初めて走ったときの記録を同じ名古屋で塗り替えることができて、自分のなかで一歩進めたかなという気持ちがあります」 安藤はパリ五輪に届かなかったものの、優勝賞金15万ドル(約2200万円)をゲット。アジア大会とオレゴン世界選手権の女王が出場したレースで金星を挙げて、マラソン選手としての〝格〟も上げた。
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