<上海だより>文芸的な道、紹興路を歩く(3)オールド上海~詩集専門店~
引き続き紹興路を歩きます。紹興路の第一弾でもブックカフェを紹介しましたが、文芸的なこの道にふさわしい「詩集 開・閉・開」という文学特に現代詩専門の小さな書店が昨年12月24日にオープンしました。特に目立つ看板もなく、路面の門も閉ざされている上に店名の書かれた張り紙がいくつか貼られているのみで、まさに知る人のみぞ知る隠れた名店の香りが漂います。
ひっそりと佇む現代詩にフォーカスした小さな書店「詩集 開・閉・開」
門を開け敷地に入ってみると、緑に囲まれた開放的なお庭があります。取材時には写真展が開催されており、入りづらい入り口の割には鑑賞者がちらほらと見受けられます。上海はギャラリーこそ多いものの、このようなインディペンデントでゲリラ的な文化が北京に比べ少ないのですが、このような隙間の空間を活用した展示などが増えてくると上海ももっと面白くなりそうです。
上海らしい古い洋風の建物の一階にお店はあり、店内はオールド上海らしいアンティーク調の家具でまとめられています。大きな格子窓からは優しい光が差し込み、店内には文化的な香りが漂っています。書籍のラインナップは中国の古典文学から現代詩人の同人誌までが揃うだけでなく、ポール・セラン、カフカ、ボードレールなどの海外文学も多く並んでいます。中には宮沢賢治など日本の作家も含まれています。
湖北省出身で32歳と若いオーナーの黄聖(ホアン・シェン)さんは、今は一人でこの店を切り盛りしています。2009年に上海に移り、実はその時に「開・閉・開(カイ・ビー・カイ)」という現在と同様の詩集にフォーカスした書店を繁華街の人民広場にオープンしましたが、当時は程なくして閉店したそうです。 今回、新しく詩集専門店を開くにあたり、再スタートとして「詩集」という新しい店名を考えたそうですが、古くからの付き合いの人たちはホアンさんが再び書店を開くということで今も「開・閉・開」という店名で呼び続けているそうです。そのため、ちょっと不思議ですが「詩集 開・閉・開」という二つの店名が組み合わさった名前になっているそうです。