物価高騰で倒産増の給食業界、給食事業経営者3名が語る課題と未来への意思
〈給食業界の未来は明るい〉
最後に、大髙社長は給食業界の未来像について質問した。 岩見専務は「他の業界は大手企業数社でシェアを独占している状況があると思う。しかし、給食業界は大きな会社もあるが、まだまだ中小企業が頑張り、輝いていける業界だと思う。給食の価値を高める動きを通して、給食=安いではなく、給食=おいしい、給食=健康的、給食=企業価値の向上など、付加価値を付けたい。組み合わせは無限にある。各社ごとの、給食=○○を作ることで、お客様が価格ではなく、提供価値で選ぶ土壌を創り出せるのではないか。頑張っていきたい」と語った。 野々村社長は「この業界には暗いイメージがあると思う。しかし、当社は昔、社員食堂の仕事が多かったが、近年は保育園給食や自衛隊関連の仕事が増えるなど、新しい分野の仕事も増えてきている。給食の仕事は人々の食と健康を支える、決してなくならない公益的で社会的な事業である。だからこそ、明るいイメージに変えていきたい。最近、M&A案件が増えているが、給食会社が給食会社を買収するのではなく、違う業界の会社が買収している。これは、他業界から見ると、給食業界はまだまだ将来性がある、というメッセージではないか。当社は給食会社でありながら、食の捉え方を広げて、違う分野にも挑戦していきたい。給食の仕事のフィールドを広げたい」と語った。 山本社長は、「2023年社長に就任したとき、新たなミッション『給食業界をアップデートし、地域の課題を解決する』を策定した。自分の人生をかけて実現したい。少子高齢化に突入し、働き手がいない中で事業を拡大させるのは難しいという方も多いだろう。しかし、いつの時代の、どこの国に生きても、大変なことはある。そういう意味では、やりがいのある時代に生まれたとポジティブに捉えている。常に挑戦する姿勢を崩さず、自分たちの可能性を開いていけば、必ず未来は明るいと信じている。この20年で何ができるのか、全力で駆け抜けていきたい」と語った。 大髙社長は「日本の給食の未来を見据えて歩める今があることを、改めて気付かせてくれる内容だったと思う。給食業界は、食に携わる人々に支えられている。もっと、お客様や働いてくれる方々、そして支えて下さるお取引先様、一人一人ときちんと向き合って、まだ見ぬ価値を形に変えていくことが求められていると思う。まだまだ、たくさんの可能性を秘めている業界だと私たちは信じている」とまとめた。
食品産業新聞社