選挙報道の現実と課題~有権者が既存メディアに不信を抱き、SNSへの依存を高める理由~【調査情報デジタル】
選挙終盤の10月23日になってさらにトピックが加わった。この日、初めてテレビで報道されたのが“2000万円支給問題”。自民党本部はいわゆる“裏金候補”に対しては公認しないことを決めたが、そうした候補が支部長を務める党支部に対して公示後に2000万円を支給していたことが判明した。共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」の特報だった。 これでは党本部が非公認にした意味がないではないかという批判が強まり、石破茂総裁が釈明してそれがテレビでもニュースなどで報道された。当日の夕方ニュース番組では伝えなかったテレ朝、フジテレビのように23日中には問題を一切報道せず、24日になって報じ出した局もあった。 【図表4】はこの2000万円問題の報道時間を集計したものだ。「選挙期間」中で2時間18分3秒になった。「選挙期間中」における政治改革、裏金問題の放送時間の4分の1以上が2000万円支給問題で占められていることがわかる。それだけ大きなインパクトを与えたといえる。 この2000万円問題が自民党や与党全体の過半数割れにつながる要因になったことはテレビ報道の量からも明らかだ。 【図表4】では「投開票日以降」の12日間でも“2000万円支給問題”で8時間近い放送が行われていることがわかる。選挙の後でも引き続き、この問題がテレビ報道の主なトピックになっている。 ■争点その2・物価高対策・“年収の壁”問題など 【図表3】で「選挙期間中」にもっともテレビ報道が争点として放送しているのが「物価高」「年収の壁」「経済対策」などの「争点1」だ。最長の9時間12分を超えている。選挙期間中にこのテーマに集中して支持を訴えてSNSも駆使して結果的に議席数を4倍に増やしたのが玉木雄一郎代表(党代表の役職停止中)の率いる国民民主党だ。 【図表5】で自民党の石破茂総裁、立憲民主党の野田佳彦代表、国民民主党の玉木代表の3者で「選挙期間前」「選挙期間中」「投開票日以後」の12日間で比較してみると、「投開票日以後」で玉木氏の放送時間が野党第一党の立憲民主党の野田代表に迫る長さであることが注目に値する。