選挙報道の現実と課題~有権者が既存メディアに不信を抱き、SNSへの依存を高める理由~【調査情報デジタル】
放送時間もやや異なるがNHKでは夕方ニュースは「ニュース7」、夜ニュースは「ニュースウオッチ9」。日本テレビは「news every.」と「news zero」、TBSは「Nスタ」と「news 23」、テレビ朝日は「スーパーJチャンネル」と「報道ステーション」、フジテレビは「Live Newsイット!」と「FNN Live News α」、テレビ東京は「ゆうがたサテライト」と「WBS(ワールドビジネスサテライト)」だ。テレ東は「ゆうがたサテライト」が民放の夕方ニュース番組では3時間を超えるものもある中で11分という比較的短いニュース番組であることと「WBS」が経済ニュースに特化したニュース番組であるという特徴がある。 国政選挙は、国民生活の根幹となる政策を決める国会議員を国民が投票行動で選ぶプロセスであることから選挙期間中はどの局も毎日の主要なニュース番組で選挙について何らかの情報を報道するのがあたり前のことで、NHKや民放を問わず公共的な役割を背負うテレビというメディアの使命だと筆者は長いこと考えていた。 筆者がテレビ報道の現場の現役だった2011年まではそれがテレビ報道人の当然の“常識”だと受けとめていた。ところが、その常識が今や崩れつつあることがこの【図表6】からわかる。 2024衆院選の選挙期間中の平日は9日間。そのうち主要なニュース番組が毎回、何らかのかたちで選挙報道をしていたのはNHK、日テレ、TBSの3局のみだった。 テレ朝では夕方の「スーパーJチャンネル」で衆院選について放送しない日が4回あった。夜の「報道ステーション」でも選挙について放送しなかった日が1回。フジテレビは夕方の「イット!」で放送しない日が2回。夜の「α」では1回。公示日を除けば各党の主張さえほとんど伝えないニュース番組もあった。 こんな実態では選挙報道に関して有権者の間に「テレビ不信」が高まるのも当然だと思う。