「焼酎」海外での認知度の低さ打開に「カクテル」…ワインや果物の皮と合わせイメージ変化「工夫が大切」
多彩な味わいや香りで多くの愛飲家たちを魅了している鹿児島県産焼酎。その魅力や酒造りに携わる人たちを紹介する。 【写真】麦焼酎やリキュール、ミカンの皮などが入ったカクテル
高千穂峰の麓にある霧島市の酒造会社「霧島町蒸留所」。昨年12月上旬、県内の中学校などに勤める外国語指導助手(ALT)と留学生の計16人が、アルコールとサツマイモの甘い香りが広がる焼酎蔵を訪れていた。
留学生らは長さ約2メートルの竹棒を手に、深さ約1・5メートルのかめ壺に入ったもろみをかき混ぜる「かい入れ」を体験。従業員から「底から引き上げるように」などと助言を受けながら真剣な表情で取り組んでいた。
代表銘柄の芋焼酎「明るい農村」を試飲したカナダ出身のALT、アンドレア・ワードさん(26)は「お湯割りで飲むのはユニーク。喉ごしがなめらかで飲みやすい」と上機嫌だった。古屋明子社長(43)は「芋が発酵する際の独特の香りを体験し、焼酎を身近に感じてもらえたはず。外国人の目線から焼酎の魅力をSNSなどで発信してほしい」と期待を寄せる。
日本で造られる酒の海外での評価は年々高まっている。財務省の貿易統計によると、2023年の酒類輸出額は1344億円に上り、14年の約4・5倍に増えた。ただ、品目によって差が大きく、ウイスキーと日本酒で全体の67%を占める一方で、焼酎は16億円と1%にとどまる。県販路拡大・輸出促進課の担当者は「認知度の低さが顕著に出ている」と危機感を募らせる。
そうした中、バー文化が根付く海外で焼酎の知名度を上げるため、県が着目するのが「焼酎カクテル」だ。
県は21年から熊本、大分、宮崎の各県と合同で米国を対象とした輸出拡大プロジェクトを始めた。訪日外国人に味わってもらう機会を増やそうと、昨年11月には鹿児島市内のホテルで米国のトップバーテンダーを招いてセミナーを開催。会場には、芋や麦、米などの焼酎と、リキュールやワイン、果物の皮などを合わせた色鮮やかなカクテルが並んだ。