開幕直前のJリーグで起きた5人のFWシャッフル。成功するのは誰?
2019シーズンのJリーグ開幕が、いよいよ今月22日に迫ってきた。各チームともキャンプでの調整に余念がないなかで、ほぼ固まった陣容を見ると、特にJ1である傾向が顕著なことに気がつく。それは5人のストライカーが、シャッフルされるように移籍したことだ。 口火を切ったのは元日本代表の杉本健勇(26)だ。育成年代を含めて10年以上所属したセレッソ大阪から、浦和レッズへの移籍が発表されたのが12月18日。この補強に連動するように、同28日までに4人のフォワードが完全移籍で新天地を求めた。 まずはエースストライカーを失ったセレッソが、北海道コンサドーレ札幌から都倉賢(32)を獲得。コンサドーレは都倉へのオファーが届いた時点で、J2へ降格したV・ファーレン長崎の成長株で、リオデジャネイロ五輪代表の鈴木武蔵(25)に白羽の矢を立てて獲得に成功した。 また、ACL連覇を含めたタイトル独占を目指して選手層を厚くしたい鹿島アントラーズは、横浜F・マリノスから伊藤翔(30)を獲得。昨シーズンの公式戦で17ゴールをあげた点取り屋を失ったマリノスは、レッズから元日本代表の李忠成(33)を獲得している。5チームのなかで、最も戦力アップに成功したのはどこになるのだろうか。 昨シーズンのレッズは、開幕直後の4月から指揮を執ったオズワルド・オリヴェイラ監督のもと、主に[3-1-4-2]システムで戦った。2トップは興梠慎三(32)と武藤雄樹(30)のベテランでほぼ固定され、2人で合計22ゴールをあげている。 ただ、興梠は175cm、武藤は170cmと高さがなく、4年間在籍した186cmのズラタン(35)も退団した。その意味でも187cmの長身を武器とし、ハリルジャパンと森保ジャパンにも招集された杉本の加入は高さというオプションをもたらす。 2017シーズンに得点ランク2位の22ゴールをマークした杉本だが、故障続きだった昨シーズンはわずか5ゴールに終わった。危機感を募らせていたのか。不退転の覚悟を抱き、レギュラーが約束された愛着深いセレッソを飛び出した思いを、杉本はレッズの公式ホームページ上でこう綴っている。 「ここで活躍できなければ次はない、という思いで戦うことを決めています」 長身の割にポストプレーを不得手としているだけに、2シーズンぶりにACLを戦う過密日程のなかで、興梠の代役を務めることは難しい。ただ、味方を生かす術にも長けた興梠と前線に並ぶことで、相手の最終ラインの裏へ抜け出すスピードを併せ持つ杉本の特長が生かされるケースは確実に増える。その場合は武藤を一列下げて、インサイドハーフで起用する形も可能になる。青写真が具現化されるかどうかは、絶好調時のコンディションを杉本が取り戻せるかどうかにかかってくる。