夫が亡くなりました。「義両親」との関係を切る際の注意点を教えてください。
「夫が亡くなれば夫の両親 (義両親) は他人。面倒をみることや、親族との大変な付き合いはしたくない! 」 そう考える方は珍しくありません。 そのようなしがらみを解消するために 「死後離婚」 によって、法律上も義両親と縁を切ろうと考える方もいるようです。そこで、死後離婚を行う際の注意点を解説します。
死後離婚の概要
死後離婚とは、配偶者の死後、その亡くなった配偶者の親族との姻族 (婚姻によって発生する親族) 関係を終了させる手続きです。 死後離婚は、義両親の介護を行いたくないと考える方や、感情的に義両親と縁を切って第2の人生をスタートさせたいと感じる方々が行っているようです。2022年度においては3780件も死後離婚が行われています。 死後離婚は、「親族関係終了届」を提出し、手続きをします。その際は手続きをする方の本籍地または、住所の市区町村役場にて行います。詳細についてはそちらへ確認してください。
死後離婚で財産の返還が必要になる可能性もある
死後離婚は亡くなった夫など、配偶者との関係に影響があるものではありません。そのため死後離婚をしても、夫の相続財産を妻として受けられるうえ、遺族年金も満額受けとれます。 例えば、相続財産3000万円を受けとり遺族年金は年間96万円受けとれるとします。死後離婚をしたとしてもそれらを得る権利はなくならないということです。 ただし相続にあたり、義父母を扶養することが条件である場合など、何らかの条件が付されている場合は、返還が必要になる可能性もあります。 例えば、遺産分割で、本来は自身が2000万円、義父母が1000万円というような相続であるところ、扶養を条件に3000万円の全額を自身が受けとるということになった場合は、相続するはずだった財産を返還することになる可能性もあります。
そもそも義両親に対する扶養義務はよほどでなければ課されない
夫の死後、義両親との関係を気にする理由の1つに、介護をはじめとする扶養義務の存在があるでしょう。確かに夫の両親は、義理の家族として特別な事情があれば、扶養義務が課されることもあります。しかし、基本的にはほとんどないと考えてよいでしょう。 例えば、妻の側に毎月100万円など充分な収入があり、義両親と同居しているなどの事情があれば、扶養義務が課されるかもしれません。また、将来、義両親を扶養することを条件に財産を渡しているような状況であれば、扶養義務が課されるかもしれません。 しかし、別居しており、義両親には血のつながった親族が健在などの事情があれば、扶養義務を課されることは考えづらいです。そのため、扶養義務のみを理由とするならば、わざわざ死後離婚の手続きをしなくてもよい場合もあります。