絶えない不祥事 地方議員が“劣化”する2つの要因
4月の統一地方選挙でも、無投票や低投票率、それに無風選挙が各地で相次ぎ、自治の空洞化が指摘された。議会への新規参入が極めて困難になっており、議員の新陳代謝が滞っている。住民の選挙への関心も高まらず、候補の質を見分ける意識と意欲、能力もさびついてしまっている。質の悪い議員を退場させるという選挙の本来の機能が停止しているのである。これでは議員間に健全な競争原理が働くはずもなく、議会は切磋琢磨と無縁の世界にはまり込んでいったのである。 このまま放置していたら、さらなる議員の劣化を招くのは必至である。質の悪い議員を交代させるべく、新人が立候補しやすい制度に変える必要があると考える。公職選挙法の改正や企業の休職制度の拡充、土日夜間議会の導入など、検討すべきものはたくさんあるはずだ。まずは議員を選ぶ選挙を活性化させ、選ばれた議員が本来の役割を果たすために切磋琢磨する状況をつくりだすことだ。“良貨が悪貨を駆逐する”世界に大転換させるのである。役に立たないトンデモナイ議員らに議員報酬を払い続けるのは、税金の無駄使いの最たるものである。
■相川俊英(あいかわ・としひで) 1956年群馬県生まれ。地方自治ジャーナリスト、早稲田大学法学部卒。地方自治をテーマに全国各地を取材し、雑誌やテレビ、インターネットのニュースサイトなどに記事を発表している。主な著書に「トンデモ地方議員の問題」(ディスカヴァー携書)、「反骨の市町村 国に頼るからバカを見る」(講談社)がある