【激震スクープ】ホンダV5エンジンを搭載したスーパーマシン?!「V6は根性なし」とは……?【復刻記事】
【検証2】優位性──V5というエンジンレイアウトに市販車としてのメリットはあるか? 実はV6がエンジンとして一番まっとう、だが……
V6は何がまっとうかというと、振動の面でまっとうなのです。ただ、V5でも偶力のバランスが取れているとホンダが言っているのなら、話は変わってきます。RCVの構造を分析してみますと、要するに6気筒のアンバランス分を5気筒の真ん中の気筒に背負わせることで、カップリング振動を消失しているということです。つまり、真ん中の1気筒で2気筒分の仕事をしていて、6気筒と同じようにカップリング振動が消えるということです。 発想は単純にMVXの3気筒です。これは真ん中の1気筒に2気筒分の重さがあって1次振動を打ち消すという設計です。結果的には上手くいかなかったエンジンですが、それをコンピュータを使って研究して、4サイクルに適応したらV5になったというところではないでしょうか。 V5に話を戻しますと、恐らく1次振動は75.5度というアングルでないと消すことができないのでしょう。これはコンピュータでないと計算はできませんが、数式ありますので、そこから弾き出したのだと思われます。そして、振動の面でV6と互角として、さらには、実機で乗った時の差もあるのではないでしょうか。 V6は「根性なし」なんです。V6は比較的等間隔爆発になるので、モーターのような回転になります。V5はかなりの不等間隔爆発になると思われますが、その方がライダーとしてはアクセレーションに対してのツキの反応が高く感じることができるでしょう。つまり、不等間隔爆発はオートバイという乗り物と非常に相性がいいのです。等間隔爆発でスルスルと行ってしまうと、理論上はいいのですが、ライダー的にはあまり面白くないフィーリングに感じられることが多いのです。 V4がこのV5のメリットを補うことができるかというと「無理」です。4気筒はどうしてもカップリング振動を消すことができないからです。つまり「V4の同爆的なフィーリングで振動がないのがV5」と、単純に機械的メリットを語ることはできます。 さらに直4は等間隔爆発の上に、カップリング振動が残るので、V5には完敗です。カップリング振動とは非常に高周波の振動で、どうしても細かくハンドルとかにシビれが残ります。ハンドルバーエンドに重りがついていたりするのはこの対策なのです。 エンジンはパワーを出そうとすると、単気筒より、2気筒、3気筒と、ピストンスピードの上限があるので1気筒あたりの排気量を小さくして、より多く回転するように多気筒化していきます。これがどこまで行けばいいのか、昔はずっと並列エンジンだったので、4気筒あたりで落ち着いた。今度はそれがVになってという進化の流れの中で、直4はその過程にあった1つの形態にすぎない。だからエンジンの進化の流れの中で新たにV5が出てきても決しておかしくはないでしょう。