アルプスアルパイン、経営構造改革へ 3000人超の人員削減 不採算事業も撤退
アルプスアルパインは、経営構造改革に踏み切ると発表した。世界で3千人超の人員削減に踏み切るほか、アルプス物流(臼居賢社長、横浜市港北区)の株式売却や不採算事業からの撤退などで事業ポートフォリオも見直す。泉英男社長は「身を正し、経営構造改革を実施しなければいけない」と語った。6月にも経営構造改革の説明会をあらためて開く。改革を通じ、2025年度からの第3次中期経営計画期間中のV字回復を目指す。 9日に開いた決算会見で泉社長らが説明した。主にコスト構造改革と事業ポートフォリオの改革で業績立て直しを急ぐ。コスト構造改革では、海外を中心に派遣や請負の約2千人と社員約1千人の合わせて3千人超を減らす。車載用スイッチなどを手がけるモジュール・システム事業では生産3拠点を減らすなど、各事業で拠点の集約も進める。これらの取り組みにより24年度までに300億円のコスト削減効果を目指す。 事業ポートフォリオ改革では、同社が48.8%を保有するアルプス物流の株式の一部を米投資ファンドKKR傘下のロジスティード(旧日立物流、中谷康夫会長兼社長CEO、東京都中央区)に売却する。アルプスアルパインの保有比率は20%に下がる見込み。売却で得る約300億円は、省人化に向けた設備投資や、次世代車向けコックピット「デジタルキャビン」、センサー関連の開発投資などに充てる。 管理担当CFO(最高財務責任者)兼経営企画担当の小平哲取締役専務執行役員は「成長投資に向ける前提だが、株主還元とのバランスもとる」と語った。一方、採算性が悪いエアバック関連部品事業で、一部の事業譲渡に着手したほか、タッチパネルフィルム事業からも撤退する。 今後は、デジタルキャビンや、市場拡大が見込まれる車載向けミリ波センサーや電気自動車(EV)向け電流センサー、デジタルキーなどへの投資や拡販を進める。地域別では中国やインドを重視する方針だ。27年度目標の売上高1兆1千億円、営業利益率10%の達成を目指し、収益性の改善を急ぐ。 同日、発表した24年3月期連結業績は、売上高が9640億円(前期比3.3%増)、営業利益は197億円(同41.3%減)、当期損益は298億円の赤字(前期は115億円の黒字)だった。25年3月期の連結業績予想は売上高が9130億円(同5.3%減)、営業利益が230億円(同16.7%増)、当期損益は300億円(前期は298億円の赤字)を見込む。