【激震スクープ】ホンダV5エンジンを搭載したスーパーマシン?!「V6は根性なし」とは……?【復刻記事】
元朝霞研究所エンジニアが検証するV5市販モデルの方向性
果たしてV5マシンはいかなる形で市販されるのか? かつてホンダ車開発の現場にいた元朝霞研究所エンジニアに協力してもらい、技術的、メーカー的見地から検証してもらった。 【T氏・ホンダの2輪車を研究・設計する朝霞研究所で15年に渡りエンジン設計を担当してきた元エンジニア。主な開発機種は’80年代のV4、V2や2ストレプリカなど。】
【検証1】汎用性──夢だけでは語れない、量産車としての転用性
モトGPマシンRC211Vのパワーユニットでもある、V型5気筒というエンジンレイアウトを採用した市販車というのは魅力的な存在ではあります。ただし、新しいレイアウトのエンジンを採用するには、企業にとってかなりのリスクを生じることも考慮する必要があるでしょう。私も開発に携わりましたが、ホンダとして初めて市販したV型4気筒エンジンを例にとっても、数を造るためにあらかじめ転用性を狙った設計になっていました。これは汎用エンジンを語る上で切っても切れない課題なのです。 そもそも排気量拡大路線のインライン4ではなく、何かホンダ独自の物をというコンセプトで始まったV4は、発売順位に多少差はありましたが、マグナ、セイバー、VF750Fの3機種に採用されました。ただし、マグナとセイバーはシャフトドライブ、VFはチェーンドライブであるのは知っての通りだと思いますが、当初からそれを見越してエンジン設計が行われたわけです。エンジンの採算ベースで考えるなら、単一機種で台数を稼ぐより、汎用性を重視して他機種で総合的な台数を稼いだ方がペイしやすいということなのです。 では実際にV5エンジンの汎用性はどうでしょうか。最近のレプリカ系は性能重視を狙って、かなり特化した設計になっている専用設計が多いと思われます。さらにレースを踏まえるとなると排気量上限も自ずから決められてしまうので、マグナやセイバーの時代のように当初から汎用性を求めるということは難しいといえるでしょう。もちろん販売価格がいくら高くなってもいいというのであれば別ですが。 しかしながら基本的には汎用性を重視せざるを得ないと思います。であればイメージ先行で販売台数にあまり結びつかないレプリカよりも、もっと売れるような機種で開発して、後に転用を考えた設計にする方が無難です。その場合はあくまでも、V5エンジンのコンセプトだけを利用するということに留まるのではないでしょうか。 ’82年、ホンダの初市販V4は、当初から3機種への転用を見越して開発された(開発や販売戦略のため同時発売ではないが)。マグナとセイバーはシャフトドライブのため、VFではエンジンを逆回転させることでチェーンドライブを採用できるようにするなど、細部にその汎用性を重視した設計が見て取れる。