エンジンは基本メンテで「30万km」 メルセデス・ベンツSL(R230) UK版中古車ガイド(2) 卓越の性能を堪能
購入時に気をつけたいポイント
■電気系統 車内の湿気や長期間の放置は、電気系統の故障を招く原因に。ECUや車載機能を受け持つ、2基目のバッテリーが荷室に積まれており、ここが濡れると各種コントロールユニットやモジュール、集中ドアロック用バキュームポンプなどの不調へつながる。 イグニッション・スイッチやバッテリーの不調が、多数の警告を誘発することも。コンピュータ診断で、エラーコードの有無を確認しておきたい。 ■ヴァリオルーフ 滑らかに開閉できるか、荷室側へ水漏れしていないかを確かめる。折りたたんだ状態で、荷物がどのくらい載せられるのかも確認した方が良いだろう。 経年劣化や長期放置で不調になりがち。油圧ポンプやバルブ、マイクロスイッチの故障、ストラットからの液漏れなどが主な内容のようだ。英国には専門ショップがあり、さほど大金をかけずに修理できる。 ■サスペンション オイルポンプで油圧を制御する、ABCサスペンションは弱点の1つ。バルブのOリングやポンプ、アキュムレーターなども不調の原因。一般的なコイルオーバー・ダンパーへの交換が一般的だが、専門ショップに持ち込めばリビルドはできなくない。 ■エンジン 基本的に堅牢だが、ウォーターポンプの交換履歴は確かめたい。ラジエタークーラントの漏れ、エンジンオイルとクーラントの混合がないかも調べたい。 エンジンの振動が大きい場合は、エンジンマウントの交換が必要。V8の場合は簡単ながら、V12の場合はエンジンを下ろす必要がある。点火コイル、補機ベルト、テンショナープーリーの状態も要チェック。 ■トランスミッション オートメーテッド・マニュアルが設定されたのは、SL 350のみ。それ以外のR230型では、5速か7速のオートマティックが載った。シフトパドルが備わらない仕様もある。オートマティック・フルードが黒ずんでいないか、滑らかに変速されるか確かめる。
メルセデス・ベンツSL(R230型)のまとめ
ハンサムで、超洗練された走りを楽しめる、R230型のSL。調子が良い期間の充足感は間違いないが、故障すると恐ろしい請求が待っている。排気量が大きいほどメンテナンスは難しく、費用も高額になる。 慎重に車両を選び、丁寧な整備を続け、専門ガレージのサポートを頼りたい。そうすれば、素晴らしい時間をSLで享受できるはず。 ■良いトコロ 当時最も先進的といえたグランドツアラー。サーキットから高速道路まで、卓越した性能を堪能できる。車内は上質で、1日中過ごしても不満は出ないだろう。 ■良くないトコロ 高い洗練性を保つには、コストが必要になる。複雑なぶん、不具合の数も増えがち。極端に走行距離が短い例は、過走行の例と同じくらい不調へ陥りやすい。