「キングメーカー争い」に岸田氏“完勝”で麻生氏“完敗”…石破氏が「大逆転勝利」した自民総裁選の舞台裏
■「1回選」での高市氏トップに会場内騒然 この結果の中でも、会場内の議員達と取材席のメディア各社記者を驚かせたのが、高市氏のトップだった。というのも、直前のさまざまな情報では、石破氏1位、高市氏2位が「通り相場」だったからだ。確かに、選挙戦終盤で党員・党友票で猛烈な追い上げが伝えられていたが、高市陣営も「まさかトップに躍り出るとは思わなかった」(幹部)と驚きを隠せなかった。 その時点で、高市陣営は「これで勝てる」(同)とほぼ確信したとみられ、高市氏も隣席の中曽根弘文元外相らと笑顔でささやき合っていた。その一方で、「想定外」の2位となった石破氏は、決選投票での逆転にすべてを賭けるべく、唇を真一文字に結んで虚空をにらんだ。そして、脱落が決まった小泉氏は大きく息を吐いて壇上での発表結果を見つめていたが、その眼には悔し涙が潤んでいた。
ただ、ドラマはこれでは終わらなかった。テレビ桟敷での国民も含め、大逆転を予感させたのは決選投票に先立つ1人5分間の「演説」だった。選挙管理委員会が直前に決めたもので、同委はその間の議員同士の情報交換や多数派工作防止のため、「スマホ禁止令」を出し、場内をざわめかせた。 そのうえで、まず2位の石破氏が演説、簡潔な表現ながら力強く支持を訴えて大きな拍手を受けた。これに対し、高市氏のあいさつは、「さて」「さて」と言葉をつなぐだけで中身も迫力も乏しく、しかも時間切れを指摘されて“尻切れとんぼ”となる失態もさらした。
■「決選投票」での大逆転に岸田、麻生両氏の表情も一変 一方、「決選投票」前は、最前列の総裁経験者らが並ぶ特別席で余裕の笑顔の麻生氏に対し、岸田氏は不安そうな落ち着かない表情だった。しかし、各議員や都道府県連代表の投票などが終わり、選挙管理委員の見守る中、事務局による開票作業が進むと、高市陣営とみられる女性管理委員が涙ぐむなど、「大逆転」の雰囲気が会場にも伝わり、石破、高市両陣営の態度と、麻生、岸田両氏の表情も一変した。