「キングメーカー争い」に岸田氏“完勝”で麻生氏“完敗”…石破氏が「大逆転勝利」した自民総裁選の舞台裏
これを踏まえ、自民党は30日に野党に対し①10月4日所信表明②同7日と8日に各党代表質問③9日に党首討論実施とその後の衆院本会議で解散――という日程を伝える方針だ。ただ、野党側の猛反発も予想され、一部日程の変更など、なお流動的な部分も残っている。 そこで、改めて今回総裁選の経過と結果を振り返ると、「過去最多の9人出馬だけでなく、すべてが異例づくめというのが最大の特徴だった」(政治ジャーナリスト)ことは間違いない。
“コバホーク”と呼ばれる小林鷹之氏の8月19日の出馬表明から、告示直前の上川陽子外相の出馬表明などによる告示前までの25日間に、選挙戦15日間を加えた計40日間の次期首相の座を巡る戦いは、多くの曲折の中で、石破、高市、小泉各氏が“3強”として脱け出し、最終盤には事実上確定していた「決選投票」をにらんで、各陣営が「未知との遭遇のような複雑怪奇な神経戦」(自民長老)を展開したのが実態だ。 そもそも最終決着の場となった27日午後1時からの「1回戦」とそれを受けての「決選投票」にも、多くのドラマが見え隠れした。
まず、国会議員368人と党員・党友による地方票(368票をドント方式で配分)の合計で争う「1回戦」では、高市氏が予想を超える181票(議員票72、党員票109)を獲得してトップに立ち、石破が154票(議員票46、党員票108)で2位、候補者討論で失速した小泉氏が議員票はトップながら136票(議員票75、党員票61)の3位となり、その時点で総裁レースから脱落した。 他6候補の得票をみると、討論会での安定感が目立った林官房長官が65票で4位、序盤戦では大躍進もささやかれた小林氏が60票で5位、旧茂木派領袖だった茂木敏充幹事長(68)は党員票が伸びずに47票の6位、一時は有力候補とされた上川陽子外相は40票で7位、前回総裁選で岸田氏とトップ争いを演じた河野太郎氏(61)は党員票がわずか8票での30票で8位に沈み、党内に幅広い人脈を誇っていた加藤勝信元官房長官(68)は議員票が推薦人(20人)にも届かない“醜態”もあって22票での最下位となった。