2025年AIに関する予測 2:音声でも人間と区別がつかないほど自然にAIが対話
2025年の人工知能(AI)の世界において、テクノロジーからビジネス、政策など、さまざまな観点から予測した10の出来事を紹介する(本稿では4~6を掲載)。 ■4. ウェブエージェントが主流に。コンシューマーAIの次のキラーアプリになる ウェブ上の作業を自分でする必要がない世界を想像してほしい。サブスクの管理や請求書の支払い、医師の予約、Amazonでの買い物、レストラン予約といった煩雑なオンライン手続きを、すべてAIアシスタントに任せるだけで完了できるのだ。 この「ウェブエージェント」のコンセプト自体は何年も前から存在しているが、もしこれが実際にうまく機能すれば、間違いなく大ヒットプロダクトになるだろう。しかし現時点では、汎用的かつ実用レベルでウェブエージェントを提供できている企業は存在しない。 Adeptのように、優秀なチームと莫大な資金を得ながらビジョンを実現できず、警鐘の例として語られるスタートアップもある。 しかし2025年には、ウェブエージェントが十分に機能する段階に達して世の中に広まると予想する。言語モデルや画像モデルの進歩に加え、新しい推論モデルや推論時計算によって「システム2思考」(ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンの著書『ファスト&スロー』で提唱された概念で、「遅く、熟慮的で、論理的な思考」を指す)を実行できるようになりつつあるため、ウェブエージェントがいよいよ実用可能になるというわけだ。 ウェブエージェントは企業向けにもさまざまな有用性を持つと思われるが、当面の最大の市場は消費者向けだと考えられる。最近のAIブームの中で、ChatGPT以外にコンシューマー向けで広く浸透したアプリケーションはまだ少ない。ウェブエージェントは、この状況を一変させ、コンシューマーAI領域の新たな「キラーアプリ」として活躍するだろう。 ■5. AIデータセンターを宇宙に配置しようとする真剣な動きが複数立ち上がる 2023年には、AI成長を阻む最も重要な物理的ボトルネックはGPUチップだった。2024年には、それが電力とデータセンターに移り始めている。 AIデータセンターの急増による電力需要の膨張は、2024年に特に注目を集めた話題だ。長らく横ばいだった世界のデータセンターの電力消費は、AIブームに伴い2023年から2026年の間に倍増すると見込まれている。米国では、2022年に全電力の3%に過ぎなかったデータセンターの電力消費が、2030年には10%近くにまで増えるという予測さえある。