2025年AIに関する予測 2:音声でも人間と区別がつかないほど自然にAIが対話
冗談のように聞こえるかもしれないが、「宇宙データセンター」には合理性がある
つまり、AIデータセンターへの電力供給ニーズは急激に伸びており、既存のエネルギーインフラでは対応が困難な状況になりつつある。 そこで注目されているのが原子力だ。原子力はCO2を排出せず、24時間利用可能で実質的に枯渇しないエネルギー源として、AIとの相性が良いと考えられている。しかし、従来型の大型原子炉にしても、次世代の小型モジュール炉(SMR)にしても、あるいは核融合であっても、実際に稼働して成果を出すまでには、研究やプロジェクト開発、規制上の手続きに長い時間を要する。そのため2030年代までは大きな効果を期待しにくい。 そこで、2025年新たに注目を集めるのが「AIデータセンターを宇宙に置く」という型破りなアイデアだ。 「宇宙データセンター」というと、流行りの技術用語を並べた冗談のように聞こえるかもしれない。しかし実際には、それなりの合理性がある。 地上でデータセンターを急増させる際、最大のボトルネックとなるのは電力確保だが、軌道上では24時間いつでも太陽が照っており、無制限のクリーンエネルギーを取り出せる。 さらに大きなメリットとして、冷却問題の大幅な緩和が挙げられる。狭い空間で大量のGPUを同時に動かすと、膨大な熱が発生してシステムに深刻なダメージを与えるおそれがあるため、データセンター開発者は高価かつ未実証の液浸冷却などの手法を模索している。しかし、宇宙空間は非常に低温であり、生成された熱はすぐに散逸するので、冷却を大幅に簡略化できる可能性がある。 もちろん解決すべき課題は山ほどある。最も大きな懸念は、軌道と地上の間で大容量のデータを安価かつ高速にやり取りできるかどうかだ。とはいえ、レーザーなど高帯域光通信技術の研究が進み、実現可能性が見えてきている。 Y Combinator出身のスタートアップLumen Orbitは、こうした構想を実現するために1100万ドル(約17億3000万円)を調達した。軌道上にマルチギガワット級のデータセンターネットワークを構築し、AIモデルを訓練しようというのだ。 LumenのCEOであるフィリップ・ジョンストンは、「電気代に1億4000万ドル(約219億9000万円)を払うより、打ち上げと太陽光発電に1000万ドル(約15億7000万円)を投資するほうがいい」と語っている。