同性婚を望みながら判決前に亡くなった原告も…東京高裁「違憲」判断 「1日も早い立法を」切実な思い
⚫︎「配偶者になれるという希望が持てた」
判決文の中には、「配偶者」という言葉が多く書かれていた。夫や妻ではなく、異性カップルも同性カップルも等しく使える言葉だ。 原告であり、女性カップルである大江千束さん(60代)と小川葉子さん(60代)は、もう30年にわたり同居し、家事や生活費を分担しながらともに暮らしてきた。しかし、判決文には、小川さんが体調不良になった際、同性パートナーが保証人になれるか問い合わせることを敬遠し、入院しなかったことなどが書かれていた。 小川さんは判決をこう噛み締めた。 「大江はずっと私の配偶者ではないと考えていました。家族というような置き換えをしていました。でも、これからは配偶者という考え方もできるのかなと希望が持てた。 私たちにはもう時間がありません。高齢者の部類ですから。病気もありますので、そういう時にやはり思うのは、法的な支えがあったら安心だなということです」 この日、12月13日に福岡高裁の判決を控える九州訴訟の原告らも東京高裁に駆けつけた。 原告のひとり、こうぞうさんは「満足のいく判決だったことを喜ばしく感じています。福岡地裁の判決では現在の婚姻制度とは別の制度について触れられていますが、僕たちは別制度を求めていません。法律婚をして夫婦になりたいと訴えてきました。引き続き、福岡高裁判決では、東京高裁判決のさらに一歩先を行くような判決を期待しています」と話した。 【同性婚訴訟】5地方で計6件の訴訟が起こされている。今日の控訴審判決を入れて8件の判決が出ており、その内7件が「違憲」「違憲状態」との判断を示した。これまでに同性カップルの結婚を認めない現在の規定を「合憲」と判断したのは大阪地方裁判所の判決のみ。