菅義偉氏「派閥問題」で沈む今の自民党に思うこと 完全無派閥の前首相が国民の自民党離れに危機感
塩田:結党から68年4カ月余りが過ぎましたが、自民党は歴史的に見ても、今、大きな危機に直面していると映ります。長く派閥の弊害や問題点を訴えてきたこれまでの姿勢と方針を踏まえて、ここで危機克服のために先頭に立って行動を、という考えはありませんか。 菅:自民党は厳しい状態にあります。ここで政治改革をしっかりやり遂げていくことが大事です。派閥解消が改革のスタートラインであり、国民の政治不信を取り除くために、私も力を尽くしたいと思います。
塩田:自民党への大逆風の中で、今年の7月8日、安倍元首相が暗殺で死去して2年を迎えます。首相退任後、亡くなるまで会長を引き受けていた旧安倍派が、今回、「派閥とカネ」の問題で最大の疑惑の対象として取り上げられるという事態となっていますが、一方で、首相として2012年12月から2020年9月まで、7年8カ月余という史上最長の連続在任記録を残し、長期にわたって政権を担ったという実績があります。2期目の安倍内閣では全期間、官房長官として政権を下支えしたわけですが、今、改めて振り返って、政治指導者としての安倍元首相と安倍政権の評価について、どう見ていますか。
■安倍元首相の功績とは? 菅:私は官房長官でお仕えして、一言でいえば、リーダーシップと改革。これに尽きるのかなと思いますね。 経済では、安倍政権の発足前の2012年6月には、日経平均株価の終値が一時、8300円を割りました。雇用情勢も、働きたいけど働くことができない厳しい状況だったと思います。そうした中で、安倍総理は「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」というアベノミクスの3本の矢を掲げて政策を実行し、経済は回復しました。私はあの時点でデフレは終わったと思っています。雇用も良くなりました。
外交・安全保障では、我が国の置かれている実態、取り巻く状況を直視し、やらなければいけない課題に総理大臣として取り組まれた。特に2015年9月に成立・公布した平和安全法制は、日米同盟の機能を確かなものにして、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためにどうしても必要な法律だったと思います。ロシアがウクライナに侵攻して現在もああいう状況になっていますが、これを見ると、あのときにあの法律を作っておいて本当によかったと思っています。