菅義偉氏「派閥問題」で沈む今の自民党に思うこと 完全無派閥の前首相が国民の自民党離れに危機感
自民党に、派閥パーティー収入の還流による裏金問題が露見し、岸田内閣の支持率は低水準に沈んでいる。無派閥で自民党総裁選に出馬して勝利し、首相退任後も派閥とは無縁の姿勢を貫く菅義偉前首相は、現状の自民党政治に何を思うのか。政治ジャーナリストの塩田潮氏がインタビューした。 ※このインタビューは2024年3月14日に行いました。 【写真を見る】現状の自民党政治を憂う菅義偉前首相 ■派閥政治は必ずしがらみが出てくる 塩田潮:3年半前の2020年9月、安倍晋三元首相の退任による後継選出の自民党総裁選挙に、名実共に無派閥で出馬して勝利し、1955年11月の自民党結党以来、初めての「完全無派閥首相」の誕生、と注目を集めました。首相在任中の全期間、派閥とは無縁で、退任後もその方針を貫き、自民党の伝統といわれてきた派閥政治とは最も距離の遠い政治リーダーという評価が定着しています。
2021年10月に首相を辞任し、岸田文雄内閣が発足しましたが、2年余が過ぎた2023年11月から、派閥パーティー収入の還流による裏金問題が露見し、東京地方検察庁特別捜査部による事情聴取・捜査も行われました。政権与党の自民党を直撃した「派閥とカネ」の問題に対する国民の批判の目は極めて厳しく、マスメディアの調査で、2023年12月以後、内閣支持率、自民党の政党支持率とも、2012年12月の政権復帰以後、最低の水準に沈んだままです。
現在の自民党の状況と問題点をどう捉えていますか。ここをこうしなければ、と考えている党再生のポイントはどんな点ですか。 菅義偉:私は、いろいろな人から「派閥を持ったらどうだ」と言われてきましたが、作りませんでした。むしろ、やはり派閥は解消すべきだという考えを貫いてきました。今、政治資金パーティーの問題を契機として、派閥解消がテーマになっています。派閥に所属していると、客観的な判断ができないしがらみみたいなものが必ず出てきます。だから、私自身は「派閥を解消することが政治改革のスタート」という思いで、解消をしっかり進めていきたいと思います。派閥解消と同時に、私たち自民党は、原点に立ち返らないといけない。