髪を触られ検査、爪の長さでお説教…時代錯誤の身だしなみ指導で従業員が相次ぎ離職 ルールを撤廃したらどうなった?
人手不足の解決策のひとつとして、流通・小売業や外食業では、接客を担当するアルバイトやパートの「身だしなみ」規定を撤廃したり、募集広告で服装の自由さをアピールする企業が増えています。髪の染色や大ぶりのピアス、色のついたネイルが禁止されていた頃と比べると、意外な「良い変化」が生まれ始めています。 【漫画】今どきネイルやヘアカラーがダメだなんて…若い人が来るわけありません(全編を読む)
<span style="font-size: 100%;">爪の長さまでネチネチお説教していた職場が…</span>
関西在住のAさん(40代)は、現在ショッピングモールの案内カウンターでパート勤務をしています。新卒で地元の地銀に入行後、結婚・出産を経て退職。子どもが幼稚園に入ったころからパートを再開し、これまでデパートのお中元・お歳暮コーナーやスーパーの試食販売、確定申告会場の誘導など、さまざまな職場を経験してきました。その多くで「厳しい服装規定」がありました。 地銀時代も規定が厳しく、髪を染めるのは白髪染めの黒だけ、ネイルは透明のみ、口紅やストッキングの色までチェックされるほどでした。アレルギー体質のため、染髪や匂いのキツい外国製の化粧品を避けて過ごしてきたAさんにとっては、問題なく対応できましたが、ショッピングモールでも「髪色やネイル、ストッキングの指定」があり、「まあ、こういうものか」と思っていました。 しかし、そのショッピングセンターでは、Aさんでも違和感を覚えるような「身だしなみ指導」が行われていました。本部から年配社員が来ると、アルバイトやパートを一列に並べて身なりをチェック。髪を触って色を見たり、爪の長さが1ミリでも規定より長いと、ネチネチと10分以上お説教されることも。週1程度しか勤務していない高校生にまで「飾りのついたローファーは派手。買い替えるように」と指示していたことにも驚きました。こうした厳格なチェックは、まさに「昭和なルール」と呼べるような時代錯誤なもので、多くのスタッフが不満を抱いていました。 「ベージュのネイルを無理やり剥がすように言われたり、厚手のストッキングを買い替えろと言われたりすることで、嫌気が差した若いスタッフが辞めてしまい、接客レベルの低い人まで採用しないとシフトが回らない状態になっていました」とAさんは振り返ります。 そんななか、離職率の高さを改善しようと、全社で服装規定が撤廃されることになりました。店内のポスターでもお客様に告知が行われ、従業員が髪色やネイルを楽しむようになると、「お店の雰囲気が明るくなった」というお客様の声が増えたといいます。職場の雰囲気が改善され、従業員の定着率も向上しました。 「明るい雰囲気の店内」にするためには、「明るく仕事ができる職場の雰囲気」が必要不可欠。そのためには「無駄な規定」は減らした方がいいのかもしれませんね。